村から帰って新聞を見たら、夕張市のことが出ていた。本当は、財政危機に見舞われている自治体は全国に相当数あるのに、夕張市だけが突出している。それだけに応援しようという人たちも多かったりもするのだが、再建団体への申請をしても、夕張市ほど関心も何もないだろうと思ってしまう市町村も多いのではないか。そういう自治体は、一体どのような再建策を人びとに示し、理解を得、協力を求めているのだろうか。
ともあれ、記事から。
《以下引用》
「財政再建団体入りする北海道夕張市の選挙管理委員会は4日、市長選、市議選(4月15日告示、22日投開票)の立候補予定者説明会を開き、市長選に6人、市議選(定数9)に11人が出席した。同市は今後18年間で約353億円の負債を返済する予定で、市長、市議の給料も大幅カットとなる。(略)一時は「誰もいなければどうする」とまでいわれた夕張市長選、市議選の立候補予定者説明会に、多数の出馬予定者が集まった。住所が夕張になくても出馬できる市長選の説明会に出席した6人のうち5人は市外からの参加だった。北海道今金町の無職岡本昌明氏(33)は早くも無所属での立候補を明言。「住民が安心して医療を受けることができる町づくりを進めたい」と話した。カナダに住むラジオ局プロデューサーや札幌市の自営業者らも出席した」(3月5日『日刊スポーツ』)《引用ここまで》
市長の給与は去年8月までの86万2000円から、この4月から7割減の25万9000円に、市議は定数18人が9人になり、給料も30万円から約4割減って国最低の18万円となる、という。
給与はともかくとして、夕張市の再建に力を貸そう、という態度は立派というほかない。中には名前を売りたいだけ、という人物もいるということだが、ともあれ、新規の発注が何も出来ない中で、どのように街を再建をしていくのか、やはりこれは注目していきたい。
私がたびたび訪ねている「村」の話に戻りたい。負債は多くの場合、公営企業会計のなかに埋もれている。自治体が経営するハコモノである。一般会計に反映されないから、住民は知ることすらないまま過ぎていってもおかしくない。そしてある日突然に、再建不能などといった結果だけを知らされる。
国が、あれ造れ、これ造れ、といって自治体が借りた金で造ったハコモノには、文化会館や美術館といったものだけではなく、病院やレジャー施設、宿泊施設なども含まれる。造るには造ったが、一体その維持・管理はどうするのか、ブームが去ったあとに必ずやってくる《不安》を行政はほとんど何も考えない。交付税があるさ、とだけは考える。
そうやって「村」も負債を抱え込んだ。気づいてみたら、税収の6倍にも達していた。誰の責任なのか?それをめぐって確かに揉めた。だがいまとなっては責任論ではなんの解決にもならないことをみんなが知っている。
役場の職員も村長も、議会も、そして村人も、ようやくこのままでは村が消滅するという危機感の中にある。だが、悲壮感はあまりない。むしろ村が、本来的な意味で持ち続けてきた「自律」に気づいたのだろう。おばアたちは、この危機をむしろ楽しんでいる風でもある。「昔はもっと苦しかった」と思っているのだろう。
そこにこの村の未来が、ちょっとだけ明るさを伴って見えてくる。もちろん、ギリギリの財政運営を強いられる行政ではある。ひとつ読み間違えば、財政再建団体として申請してもおかしくはない。そしてもっと問題なのは、例え借金は返せたとしても、では本来の村づくりをどうやっていくのか、というプランである。そこがないと、歳出の削減ばかりを強いて、気が付いたら村は壊死していた、となっていないとも限らない。
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