Re-Set by yoshioka ko

■老いた、父と母のこと

 私には年老いた両親がいる。94歳の父と90歳の母である。そのこと自体はとても嬉しいことだ。二人は一緒になって70年近く生きている。父にはここ3~4年の間に記憶の衰えが目立ち始め、母には足腰の弱さが見え始めた。見ていると、父は母を本当に頼りにしていることがよく分かる。あの父が?と思うほどである。

 二人だけの生活は、若いときは楽しいのだろうけれども、老いた今はどうなのだろう、とふと考える。見ていて落ち着く先は、やはり「夫唱婦随」なのだなぁ、ということである。

 記憶が衰え始めた父と、まだまだお茶をやったり短歌にいそしむ余裕のある母を見ながら、二人のコンビネーションはぴったりだなと思う。

 と同時に思うことは、父は60歳で定年になったあとも、75歳まで仕事を続けた。母は、父の60の定年になるまでは主婦だけをやってきた。そしておもむろに「これからは私の人生」とばかりに、お茶を習い、免許を取り、一方では短歌作りにのめり込んだ。だから母は90歳になった今も、足腰の衰えは仕方ないのだけれども、心は元気なのだ。

 その母が、思いもよらず救急車のお世話になった。器質的なものなのか、それとも心労か、定かではないけれども、ともかく入院させることにした。この先のことは勿論分からない。子である私は子であるが故の考えをまとめなければ、と思いながら、父はそんな母の姿をどう見ているのだろう、と思うのだが、事態を飲み込めない父の姿が私の目の前にあった。

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コメント一覧

ナオ
2人とも大好き!大事にいたらずに良かったよ。
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