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4月8日、俺にしては珍しく一人で内環路の内側に出かけて来た。
目的地はここ、バンダイナムコ・ドリームホール。
上海IGFの旗揚げ戦を見て来た。
動員はだいぶ苦労したらしい。
俺自身も知り合いからタダ券を貰っての観戦。
アレクサンダー大塚やKENSOがタダで観れるならオイシイと思ったわけ。
実際入口ではチケットの確認もなく、故になんのストレスもなく会場に辿り着くことが出来た。
ほぼ全員タダなんだろうけど、おかげで客入りはそこそこ。
満員札止めとはいかなかったけど、格好はついた感じ。
試合前に挨拶があったが、ここからさっそくダレた。
日本語で話してから中国語に通訳が入り、簡単なプロレスのルール説明なんかもあり話にリズムが生まれない。
今後ここに日本人(中国語が話せない人)は必要ない。
第一試合 林 棟軒× vs 〇常 剣鋒
上海IGF所属の二人が第一試合で上海ファンにもお披露目。
ちょっと前に後楽園ホールでデビューしたらしいが、ちょっと間に合い切ってない感じ。
この日を目指して頑張って来たんだろうけど、固さが目立った。
若い選手は勢いで押す姿勢くらいしか見せれるものがない中で、まだまだ身体が自然に動かないのか、息が上がっちゃってるのか。
二人ともメインにもう一度出て来たけど、その時はもっと動けていたからやっぱり緊張の部分が多かったんだろう。
これからなんだから引き続き頑張ってくれればそれでいい。
会場の雰囲気は『プロレスってどんなもの?』って感じが強くて、それも可哀想だった。
ファンの為にか中国語で実況が入りながらの試合だったけど、あれは有りだと思う。
技の名前なんか知らない人ばっかりなんだから。(DDTがでた時に”DDT!”と実況が叫んで、デビューしたばかりの若手にとっては大技であることを伝えていた)
第二試合 中井 光義× vs 〇劉 文擘
ヤングライオン的な(最後は逆エビだったし)第一試合の後は、格闘風味な第二試合。
第一試合の時もそうだったけど、リングサイド(1F)は立ち見で、最前列に居る人以外グラウンドの攻防になると何も見えない。
184cmある俺も見えないんだからほぼ壊滅状態。
実際第一試合が始まった時には『見えねぇ~』と言って一斉に民族大移動が起きていた。
特にこの試合はグラウンドにも見せるべき部分が多かったので、なんともアピールが難しい試合となってしまった。
最後もグラウンドでチョークスリーパーだったわけだし。
この試合の打撃で観客のテンションがちょっと変わった。
やっぱまだ上海ファンが”プロレス”に慣れてないから、打撃の応酬の様な解り易い構図がうける。
これは当分全レスラーが意識しても良いのでは?
試合後、握手をしようと手を出す中井に対して劉が拒否をした。
試合に負けるは握手拒否られるは中井は踏んだり蹴ったりだが(苦笑)こんなあるあるのアングルでも上海ファンは一切沸かない。
そこから遺恨が生まれetc…のようなイメージがつかないんだから仕方ないけど、この辺りはレスラーも探り探りでも何かを見つけ、またお客さんを”教育”していかなければならない。
第三試合 ジャングル叫女× vs 〇宝城 カイリ
唯一組まれた女子の試合。
今まで上海で開催したIGFにも来ているからここからはスイングするかなぁ・・・
と思ったが、引き続き会場は厳しい空気だった。
とにかくプロレスを知らない上海ファンには、プロレスの”お約束”が不思議でたまらない。
ジャングルがロープに肘をかけているだけで、ロープに腕が絡まってる”てい”だとかが不思議で『なんで逃げないの?何してんの?』と苦笑いが起きたりする。
トップロープからのエルボーとかには沸いていたけど、それも散発。
二人が用意してきた打撃時のネタもドンズベった。
片方が『ニーハオ!』と言って打ち込むと、相手が『シェイシェイ!』と言って打ち込み返すという・・・(苦笑)
これは、厳しかった。
当然上海ファンは沸いてないんだけど、何が悲しいってそのネタの意味からして上海ファンには伝わってないわけだ。
これは日本人が陥りがちな話だけど、中国語を勉強していない日本人が発音する中国語はまず中国人には理解してもらえない…。
だから、『ニーハオとシェイシェイが寒い』からスベっているのではなく、『アイツら何言ってるか解らない』からなわけで、これは切ない…。
この辺りの小ネタはわざわざ現地スタッフに確認はしないだろうから仕方ないけど、まわりがもうちょいなんとかしてあげて欲しかった。
まぁそれがきちんと伝わったとしても『コイツら喧嘩してるのに你好と谢谢って何だ??』って疑問が巻き起こるのが今の上海ファンなわけで、このネタを成就させようとするだけでも前途多難だ(苦笑)
カイリが勝つわけだけど、試合全体に説得力が発生しないまま…(これは前の二試合にも言える事だけど)
第四試合 KENSO&常 剣鋒× vs 〇林 棟軒&アレクサンダー大塚
期待していたであろう女子の試合もスイングせず、危機感いっぱいのKENSOが今日の大会を一気にひっくり返しに来た。
お通夜の上海ファンを試合前から煽る姿はまるで元気な頃の(失礼)CIMAの様。
これには上海ファンも漸く重い腰をあげた。
ここで、この日の俺に最大のインプレッションを与えてくれた大事件が起こる。
セカンドロープに立ちガウンを投げるKENSO。
なんとそのガウンが俺目掛けて飛んでくるのだ!
今までなんどプロレスを会場で観たか解らないけど、思えばこんなにリングに近かったのは初めて。
上海だからたいしたことの様には思っていなかったけど、よくよく考えたらこの距離にWWEの鈴木健三がいるわけだ!
そしてそのガウンが飛んでくる!
綺麗に投げられたガウンは大きく広がり、こちらに向かって飛行中。
どう考えても、その広がったガウンの着地点ど真ん中に自分が居る…。
嬉しい、多分取れる、少なくとも確実に触れる…
けど、こんなど真ん中でガウン受け止めたら周りからガウン目掛けてファンが殺到してえらいことになるんじゃ・・・
ガウンが引きちぎられるドサクサに紛れて、俺の服や鞄までズタズタにされるんじゃ・・・
さらに言えば俺無傷でいられるのか?!
中国人は確実に日本人より血の気が多い。
そんな騒ぎのど真ん中にポツンと居て、俺は無事生還できるのか?
実は逃げた方がよいのでは・・・でも取りたい!!
瞬時に逡巡を巡らせた結果一念発起してキャッチを決意すると、次の瞬間ずっしり思いKENSOのガウンをがっちりキャッチ。
あまりにど真ん中だったので、周囲の数人が触りはしていたけど、普通に両手でつかんでいるのは俺だけ・・・
それを確認し、俺は気合いをいれる・・・『さぁ来いお前ら!俺は負けないぞ!!!』
・・・がしかし、だぁれも俺の所には押し寄せず、だぁれもKENSOのガウンを触りにも来ず・・・
KENSOのガウンがここに飛んで来たんだぞ・・・
なんかすっごく悲しくなったし、今回の大会の厳しさを肌で感じてしまった。
それだけ上海ファンはなぁんにも知らんのだ。
多分今日の大会が盛り上がっているかどうかだって理解していないわけだ。
みんな『今日は珍しいもん見たな』みたいな感じで帰るわけだ・・・。
KENSOは一人頑張っていた。
林相手にチョップ合戦をし、一生懸命に魅力を伝えようとしていた。
こんな特異な条件じゃなければ、林と常の二人にKENSOと大塚が付き合うなんてありえない。
だけど上海IGFの未来の為にひと肌も二肌も脱いだわけだ。
もうこの後は試合とは別の所で感動の嵐だった。
なんとかこの団体、軌道にのってもらいたい…。
試合は林の初勝利(誰が騒いだわけでもないけど)で幕を閉じた。
膝から先に落ちるお世辞にもキレイとは言えないフロッグスプラッシュだった。
それでもこの手の解り易い技が今の上海ファンには良いだろう。
全試合終了後はKENSOが挨拶して、そしてファンより先に出口に赴き(林と常の二人をつれ)物販だかサインだかをやっていた。
一所懸命に『シェイシェイ』と言っていた。
林と常は気後れして静かだったけど、KENSOがあそこまでやってくれているのだから、もっと元気にやってもらいたかった。
帰り道、時間があったので静安寺の駅まで歩いた。
いろいろ考えたが、何より上海IGFが立派な団体に成長してもらいたいと思った。
KENSOの頑張りに心を打たれたカタチだ。
言いたいことは山ほどあるけど、まずは何より旗揚げおめでとうございます。
これで改善点がより明確になって、いろいろやれると思えば凄く重要で貴重な大会だってってことだ。
俺としては・・・
■進行は中国語一本
■外国人レスラーが中国語で上海ファンをいじるなら内容と発音の確認を
■打撃(選手に出来ているあざなんかを見て凄いと言っている上海ファンはチラホラ居た)等解り易い技で
■林と常がマイクをガンガンやるくらい前に出てくる
■営業もっと頑張れ
■立ち見は辛い(グラウンドが見えない)
■当分第一試合のように試合に実況をつけて、上海ファンのプロレス教育を
■最後にKENSOがやっていたような選手のファンサービスをもっと多く(カイリとジャングルがやればみんな寄って来たハズ)
■物販をもっと積極的に、選手のファンサービスと絡めて
□会場の大きさは丁度よい感じ、これ以上大きい所は当分無理だろうし
言いたいことはまだまだある気がするが、切なく侘しく感動した。
個人的には見に行って良かったし、また見たいと思ってしまった。
判官贔屓だけど(苦笑)