幸希子の『あのね』

小学生のとき『先生、あのね』という冊子を担任の先生とやり取りした記憶があります。『あのね』で始まる気づきを綴ります。

亡き弟の納骨

2020年11月08日 | マイライフ
 少し体調を崩していた。その間にも元々決まっていた予定は進行させなければならないので、ブログをお休みしていた。
 2017年の春先に3つ下の弟が他界して、両親にとっても自分にとっても平常心に戻って暮らせるまでに3年半かかった。そして、本来なら直ぐに納骨してあげるべきだったお骨がずっと家にあり、ほぼ毎朝父がお経をあげてお線香をたいていた。今年になって、春には納骨しようといっていたものが、コロナ禍で不要不急の外出自粛と県をまたいでの移動ができなかったうえ、緊急事態宣言発出があって予定は無期延期になっていた。

 今夏は特に猛暑で、80歳となる両親にとっても外出は控えてほしかったし、世の中にマスクやアルコール消毒液が出回るようになっても、新型コロナウィルスの勢いはおさまらないまま感染者数は上下し、いままた世界でも見通しが悪くなっている。
 とはいえ、いつまでも部屋に仮置きしたままのお骨をそのままにしてもいられないし、10月の暑くも寒くもない日に京都まで出かけた。
彼が闘病して最期を迎えるまで8年。あっという間のような、でいて長かったような時間が心の中で思い起こされ、さらにお骨になって3年半の間に遺された両親と自分の変化を胸の中で反芻していた。ショックで母が、倒れるのではないか、父が呆けるのではないか、自分もメンタルが再び弱ってダウンしてしまうのではないか・・・一周忌までは不安だったが、現在では心なしか両親の白髪が少し黒くもどり、体重ももどり、部屋の片づけや遺品の整理もできていき、もちろん箱に入れたままとか押し入れに突っ込んだままとか、そういう片付け方も混じっているけれど、弟の最愛の妻も両親のところに年に何度か訪れてくれて、ゆっくり癒しの時間が流れていると感じる。

 弟が末期がんと最初から告知されたのは、彼が39歳の時だった。5年生きられないかもしれないという状況も聞いていた。その1.5倍彼は生きてくれた。妻や両親や姉である自分のためにも、つらい治療を受けて耐えてくれた。
 わたしには、弟の存在は大きかった。離婚して一人娘を育てていくために、両親の支援と弟とその妻である義妹の応援は欠かせないものだった。わたしがいろんな困難にぶつかり人生を投げ出そうとしたとき、弟は何度も励ましてくれた。彼はもっと「死」という大きい壁と向き合っていたというのに。

 多くを学ばせてもらい、たくさんのきょうだい愛をもらった。生きること死にゆくこと、Xdayが決まっている彼と、当たり前に明日目が覚めると思って心を病みつつも漫然と生きている自分との違いにどこにぶつけていいのかわからない怒りを持ったこともあった。
 シングルマザーでフルタイムで働いても経済的に大変だったうえに、娘は命を落とすかもしれない病気になった。職場での人間関係でストレスを抱え、辞めたら治ると主治医に言われつつも、生計維持者なのだから「辞められない」と思い悩み、どんどんメンタルが崩壊していったわたしに、弟の末期がんの告知は「なんで彼が?」という言葉しかなかった。

『あのね♡♡♡・・・』
 10年前のわたしと今のわたし、年齢を重ねた分、今までできたことが同じ速さではできなかったり、鎮痛剤なしでは暮らせないほど身体的にも弱っているけれど、大切な弟の死を経験し、納骨しにお寺さんに行って、ふと振り返ると、いつのまにか、出口のないトンネルに閉じ込められていた10年前の苦しさから解放され、会えば満面の笑顔で抱き着き、抱っこをせがむ孫二人と娘、娘の夫に大切にしてもらい、4年前から必要に迫られ同居することになった両親ともなんとか暮らしのリズムが定まって、少し楽に生きられるようになったみたい。
 離婚してから20年以上経つけれど、今の暮らしを選んだことに後悔はないしね。思えば一人で悩んでいた時が一番しんどかった。
 身内でも、友達でも、相談機関でも誰だっていいから、自分だけで悩みしんどさを背負うことはなんにも解決につながらないことを学んだよ。
 これからも天国から見守っていてね、弟くん。

 季節はあっという間にうつりゆくけれど、人の心の傷はゆっくりとしか癒えないから、焦らず、ときには周りを頼って、笑って暮らせる時間を少しでも多く獲得したい。人は人。自分は自分。
 お寺の階段も、父と母とわたし、ほかの参拝者さん、みんなスピードばらばらで、でもちゃんと上まで登ることができた。競争するとしたら自分が相手。誰かと比較してもなにも生まれない。
 人の目を気にしないで生きていけるようになれば、心のストレスはかなり軽くなるよ。

 ちょっとしたことでも、話したい事、心でモヤモヤしている事など打ち明ける人が周りにいない方、自らもメンタルヘルスで何年か罹患して苦しみ、いまは上級心理カウンセラー資格取得をしました。言葉や文字にして伝えるのが苦手な方でもかしこまらなくていい『あのね、聞いてほしいんだけど…』って、小学校や中学校で先生とあのねノートを交換したように、相談室あてにあなたの『あのね』を送ってみませんか?  楠居幸希子相談室でお待ちしております。





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