社会福祉を考える会 ユメこえ

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ON HOME18

2010-07-30 07:48:18 | ON HOME
それかもう毎日、ふたりは同じ場所で過ごした。

講義数の少ないモリアーティが、たいてい先に部屋へ着く。

あとに続いて、ホームズが入る。

寮へ入るまでの数時間。

この時間がなによりも楽しい。

今日も研究室へ、嬉々として向かう。

その足取りが自然と速くなる。

ドアを開ける。

「やっと来れました、1年目は講義が多くていけませんね。」

この言葉に応えるように、目線を送るもう一人のここの主。

「さぼって来てないだろうな。」

冗談めかして言う。

「大丈夫。

ただでさえ目立っているのだから、そんなマネしませんよ。」

笑ってみせる。

それはそうだ。

自分に必要のないものでも、学校の決めたれたルールに、

従わなければならないのだから。

「今日からレポートの為に、ちょっとした実験しようと思って。」

言いながら、カバンから書き留めたノートと、薬草の入った瓶を取りだす。

目がページを追う。

ホームズの細かい端正な字が見えた。

しばらく読み返しながら、考えている仕草。

頭の中に描く、その変化を、現実に起こそうとしている。

手を動かす。

棚から試薬を出したり、秤にかけたり、フラスコへ移したり。

その動きを、彼は横で見守る。

あたたかい視線。

心地よいと、ふたりが感じていた。

こんな日常が、ただ嬉しい。

何時間でも、ずっとこうしていたい。

お互いが同じように感じていた。


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