階段を駆け上がり、ドアをいきおいよく開ける。
「J。」
その姿を確認すると、名前を呼ぶ。
表情は、複雑なまま。
あわてた様子を見て、手を止めた。
「どうした?」
いつもとは違う、ホームズの様子。
「聞いてないよね?」
何を。
とは、言えなかった。
自分が研究目当ての人間と噂されていることを、とは。
でも、その表情を見て、彼は察した。
自身でその噂を聞いて、わざわざ確認に来たということを。
いつもと同じ声、同じ口調で聞き返す。
「君が私の研究を狙って、近づいたって事かい?」
一瞬で表情が凍る。
彼もやはり、聞いていたのだ。
“違う”
“そんな噂はでたらめなんだ”
その言葉だけでいいのに、のどが詰まる。
声が出せない。
ただ、目を見つめる。
先に答えたのは、彼の方だった。
「分かっているよ、ただの噂だって。」
やわらかな声。
やわらかな表情。
すべてを包むようなあたたかさ。
“心配するな”
と、言ってくれているようで。
「引き寄せたのは私だ。
君から進んできたのではないだろう?」
そうだ。
一人でいる事を選んでいたホームズに、彼が声をかけた。
それが出会い。
それがはじまり。
「私の意志で君を呼んだのに、周囲の憶測の声など、
気にする訳があるまい。」
当たり前の様に話す。
さり気なさ。
こんなにも、
言葉ひとつが嬉しい。
むしろ自分は、彼を信じ切れずにいた事がおろかに思えた。
自分も、ただまっすぐに信じればいい。
大切な人だから。
この思いを信じればいい。
今更ながら、
それに気づいた。
「J。」
その姿を確認すると、名前を呼ぶ。
表情は、複雑なまま。
あわてた様子を見て、手を止めた。
「どうした?」
いつもとは違う、ホームズの様子。
「聞いてないよね?」
何を。
とは、言えなかった。
自分が研究目当ての人間と噂されていることを、とは。
でも、その表情を見て、彼は察した。
自身でその噂を聞いて、わざわざ確認に来たということを。
いつもと同じ声、同じ口調で聞き返す。
「君が私の研究を狙って、近づいたって事かい?」
一瞬で表情が凍る。
彼もやはり、聞いていたのだ。
“違う”
“そんな噂はでたらめなんだ”
その言葉だけでいいのに、のどが詰まる。
声が出せない。
ただ、目を見つめる。
先に答えたのは、彼の方だった。
「分かっているよ、ただの噂だって。」
やわらかな声。
やわらかな表情。
すべてを包むようなあたたかさ。
“心配するな”
と、言ってくれているようで。
「引き寄せたのは私だ。
君から進んできたのではないだろう?」
そうだ。
一人でいる事を選んでいたホームズに、彼が声をかけた。
それが出会い。
それがはじまり。
「私の意志で君を呼んだのに、周囲の憶測の声など、
気にする訳があるまい。」
当たり前の様に話す。
さり気なさ。
こんなにも、
言葉ひとつが嬉しい。
むしろ自分は、彼を信じ切れずにいた事がおろかに思えた。
自分も、ただまっすぐに信じればいい。
大切な人だから。
この思いを信じればいい。
今更ながら、
それに気づいた。
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