社会福祉を考える会 ユメこえ

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ON HOME10

2010-07-11 17:40:38 | ON HOME
ひと通り読み終えると、それらをテーブルへと戻す。

「悪いけど、今日は起きないよ。」

声に力がない。

昨夜から、思っていたことをついもらす。

「ホームズ、君はなんだかおかしいよ。

体調が悪いわけではないだろう?

もっと別の何かがあるのではないのか?」

目をそらす。

あわせ様としていない。

心配をしているのに。

自分で、自分のことも判らないのか。

それとも、

判っていても、どうしようもないのか。

「眠るといい。休む事が一番のクスリだ。

目が覚めたら、いつもの君に戻るよ。」

そのまま、吸い込まれるように眠りについた。



10年前。

初夏。

ここは、オックスフォード大学構内。

広大な敷地には、多くの学生達が学び、暮らしていた。

新入生も落ち着いた頃で、先輩たちと共に学業にいそしんでいた。

校舎から少し離れた、丘の上。

ひとりの学生の姿。

木陰、片手には本。

構内のにぎわいは、ここには届かない。

風邪が揺らす草の音、木々の葉音。

時折、鳥のさえずり。

喧騒から離れていたい者には、ちょうどいい心地よさがあった。

この中にあっては、なにもしていなくても楽しいのだろう。

手にしている本のページはなかなか進んでいない。

静寂を楽しむ、といったところか。


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