社会福祉を考える会 ユメこえ

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ON HOME11

2010-07-12 18:26:06 | ON HOME
ひとりでいる。というのは、案外悪いものでもない。

まわりに余計な気を遣わずにすむし、自分の思うままに

何でも決めて、行動できる。

今この場所での、読書も同じ。

自分ひとりの平穏が何よりいい。

その空間を、音と共に壊すモノが---

ザザザッー!!

木の葉と一緒になって、突然の訪問者。

「ッ!?な…」

何者だ、との声も、あまりの驚きで詰まる。

「いきなりスミマセン、ちょっと足を滑らせてしまって。」

木の葉まみれになりながら、その男はあやまった。

手にはフラスコ、薬品瓶がある。

どうやら、ここの学生であることは間違いなさそうだった。

しかし、木の上で、一体何をしていたというのか。

不信そうに見ていると、

「ちょっと葉の光合成の力を貸りて、

実験してみようと思ったんですけどね。」

おどけて話す。

まだ学生にしては幼い。そして、無邪気であった。

今年の新入生であろう。

そういえば、今年の主席入学者はずいぶん変わり者だと、

もっぱらの評判がある。

「見たところ、新入生らしいが、君がウワサの主席君か?」

この行動力と発想力からして、もしかしたらと尋ねる。

「ええまぁ、ホームズといいます。」

遠慮がちに話す。

正直なところ、理系の世界では先輩後輩の関係にうるさい。

研究成果もうまくいけば、年功序列で研究チームの

上の者だけの手柄となったり、評価されたりという事が多い。

彼のように、チームを必要としなくても結果を出せる人物は、

この成果社会には異端であり、扱いにくい存在なのだろう。

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