社会福祉を考える会 ユメこえ

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ON HOME13

2010-07-15 19:12:40 | ON HOME
「案内しよう。」

彼は草を払い、立ち上がる。

手を、差し伸べた。

まだ、とまどいが。

この手に、甘えてもいいのだろうか。

自分が迷惑を欠けることに、なりはしないだろうか。

そんな思いが駆けめぐる。

ホームズは座り込み、彼の顔を見上げたまま、

手を伸ばせずにいる。

「おいで、ホームズ君。」

風が吹いた。

まるで、背中を押すように。

差し出された手に、自分の手を重ねる。

あたたかさが伝わる。

握る手の力強さに、やすらぎを覚えた。

いつの間にかに、ひとりでいた時の淋しさが、どこかへ消えていった。




校舎内。

モリアーティのあとに続く。

いくつもの講堂を通りすぎ、角を曲がる。

長いスロープが続く。

その先に階段。

短い階段を上がると、ひとつのドア。

「ここだよ。」

ポケットから鍵を取り出すと、ドアを開ける。

試薬のならぶ棚、

たくさんの本、

実験台。

広くはないこの部屋。

窓からはキャンパスが見える。

ひかりが注ぐ。

薬品のにおい。

雑然と本が積み上げられた机へと向かう。

そこがいつもの定位置なのだろう、椅子へ腰掛ける。

「ここは私ひとりで使わせてもらっている。

机も椅子もあまっているから、使うといい。」


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