社会福祉を考える会 ユメこえ

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ON HOME24

2010-09-10 08:37:11 | ON HOME
なにかを思いついたように、モリアーティは机の横を探る。

そこから、ひとつのバイオリンを取り出した。

ホームズの眠るベットの横へ座り、軽く音を出す。

高くて、澄んだ音。

それを確かめると、やわらかな音を続けた。

自分に出来ることで、彼を元気づける事は、

これくらいなのではと、思ったからだ。

聴こえているのか、いないのか、

その答えがなくても良かった。

少しでも、バイオリンの音色が気分を落ち着かせ、

良くしてくれるならと。

それはホームズの事だけでなく、見守る彼自身のことでも。



医者のいう通りに薬を飲ませ、経過を看ること半日。

だいぶ、様子が落ち着いてきた。

はじめの頃よりは、いくぶん熱も下がりはじめた。

少しづつ、汗ばむようになった。

回復に向かっているが、安心とまでは言えない。

まだ目を覚まさない。

体を拭いてやりながら、

「ホームズ、」

名前を呼ぶ。

こたえは返らない。

そんなことは分かっている。

このまま、夜明けまで目を覚ますことがなければ、

何も告げられないままになる。

それは自分にとっても、彼にとっても、

辛いことだ。

開かないその目を、ただみつめる。

伝えておきたい。

本当は、自分の口から話したいが、

聞ける状態でもない。

立ち上がると、デスクの引き出しから、便箋を取り出す。

ペンを手に、

時折、眠るその姿に視線を送りながら、

手紙を書いた。



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