三田文學 新人賞に応募する予定で、小説の原稿を書いています。
締切 2024年10月31日
枚数 400字詰原稿用紙100枚以内
小説のタイトルは、『ハート・デザイナー』
精神科医の滝川怜は、お金儲けの学問としての経営学よりも、彼女自身の脳の中にたくさんの貯えがある。ゆえに、同じ屋敷にいっしょに住む全く縁もゆかりもない他人である老女が、投資家となり、資本としてお金を出すという計画的な操作によって、サロン風のメンタルクリニックを開業した。
ところが、老女は、とんでもないことを言い出した。
「反復経頭蓋磁気刺激療法を導入してみたら、どうだろうねえ」
rTMSと呼ばれる専用の医療機器を用いて、脳に繰り返し磁気刺激を与えることで、特定の脳の活動を変化させ、うつ病の症状を緩和する治療を始めれば、患者が増えるのではないかと考えているようだ。薬物療法では治療効果が得られない中等症の鬱病を対象とする。2ヵ月程度の入院治療となる。病床数20の小規模病院で、rTMSを導入するなんて、ちょっと奇妙な思いつきだ。
滝川怜は、彼女の脳の貯えでは解釈ができない奇妙な現象が起きたとき、必ず読み返す本がある。
異端文学とも、三大奇書とも呼ばれる、夢野 久作の『ドグラ・マグラ』である。
小説の舞台は、1926年(大正15年)、九州帝国大学医学部精神病科。主人公は、独房に閉じ込められた、記憶喪失中の精神病患者。現在では、薬物療法が主流だが、そもそも、薬物療法は、1952年のフランスの精神科医 Delayと Deniker による抗精神病薬の発見以降、1950年代に始まった。すると、1926年当時の九州帝国大学医学部精神病科では、まだ薬物療法は行われていない。
瀉血療法やマラリア発熱療法、インスリンショック療法、ロボトミー手術、電気ショック療法など、麻酔を使用することなく、荒々しい治療が行われていたが、その効果が期待できなかったばかりではなく、倫理的問題が、小説の背景にある。
しかし、現代の反復経頭蓋磁気刺激療法は、全身麻酔を使用するのである。
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/sankei-_affairs_trial_AMOQKCVGGJJ5XJNKGTSXYFP6UM
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