フグで死にそうになる話。

数年前、仲良しのドクターに友達と２人してご飯をごちそうになったことがあり、

私は生まれてこの方、フグというものを食したことがない！
ということで、フグ料理を食べに行った。

コース料理なので、それなりのお値段であったとは思うのだが
そこはドクターなのでこちらもまったく遠慮などする気はなく
美味しくごちそうになった。

前菜から、フグ刺、唐揚げ、てっちりとコースは進み、
鍋の〆で雑炊を食べている時だった。

何も考えずに「うまし、うまし！」と
レンゲで雑炊をバクバク食べていると
のどに大きな骨の塊のようなものが引っかかってしまった。

雑炊なので、大して噛まずに丸呑み状態だったのが敗因だろう。

引っかかった、というより、のどの所で停滞している感じ。
このまま飲み込んでしまえば、のどにザックリいくことは明らか。

かと言ってこの場で「ウゲッ」と吐き出す勇気もあまりない。
気軽に吐き出すには、ちょっと奥に行き過ぎている。
多分、吐き出した拍子にいろんなモノも一緒にリバースしてしまう気がする。

まさにのどで骨が「二進も三進も(にっちもさっちも)いかない」感じ。

さっきまでしゃべりまくっていた私が
急に黙ってしまったことを不思議に思う人はここにはいない。
何故なら後の2人は酔っ払って
自分たちがしゃべりたいだけだから。

いっそのこと、箸でも突っ込んで摘出するか…
あぁ、ここに病院に山ほどあるデカいピンセットがあれば…

下手したらこれは救急車出動もの…
耳鼻科かな…？

のどに物があるのに、飲み込んではいけない、という状態がこんなにツラいとは思わなかった。

困りながら困っていると、なんとなく骨の塊が
若干口の方に戻ってきた気配。
「今を逃したら、あんた本当に死にますよ！」と
心の中のモブリットさんが囁いたとか、囁かないとか。

KC進撃の巨人　5巻より抜粋

のどの奥を締めるようにして
骨の塊を押し戻し「ゲヘッゲヘッ！」

ようやく口の中に戻ってきた骨の塊。
どんだけデカいのかと思ったが
小指の先ほどの大きさしかなかった。

そこでやっと私の異変に気付いた2人(医者と看護師)に
「どうしたの？」と訝しがられ、
「いや～、のどに骨が引っかかって死にそうだったよ。ハッハッハッ」

笑い事で済んでよかった。
笑ってたけどマジで苦しかったので涙も出た。

フグ、危険ですよ。
毒以外でも殺傷能力あり。

ふぐ料理屋さんの店先にて。


写真撮ってたら集まって来ちゃいました。
「我も我も」