ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

奥が深いぞ、北朝鮮問題

2017-08-20 11:40:01 | 日記
外交の世界は奥が深い。素人の判断など、「名案」だと思ったのも束の
間、ことごとく浅知恵であったことを思い知らされる。

先日、私は本ブログで次のように書いた。北のドン金正恩は、グアムへの
ミサイル発射を留保する意思を表明し、無意味なチキンレースから「いち
抜け」をした。それは彼の「賢明さ」によるものだ、と。

だが、きのうのことになる。私はネット上に、次のような見方があるのを
知った。ニュースサイト「現代ビジネス」に8月18日付で掲載された
《「米朝危機は決して回避されていない」ことを示す、ある重要なサイン》
と第する記事(筆者は長谷川 幸洋氏)である。それによれば、金正恩がミ
サイル発射をめぐって態度を軟化させたのは、「頼りとする中国が冷たく
突き放したからだ」という。この記事の典拠になっているのは、「環球時
報」に10日付で掲載された以下の論説である。

〈もしも北朝鮮が米国本土を脅かすミサイルを先に発射して米国が報復し
た場合、中国は中立を保つだろう。もしも米国と韓国が攻撃して、北朝鮮
の体制を転覆し、朝鮮半島の政治的版図(the political pattern of
the Korean Peninsula)を変えるようなら、中国はそうした行動を阻
止することも明確にすべきである〉

記事の筆者である長谷川氏によれば、「環球時報」に掲載されたこの論説
は「共産党機関紙の社説」に相当するものであり、ここには中国共産党指
導部の公式見解が表明されている。「北朝鮮が米国本土を脅かすミサイル
を先に発射して米国が報復した場合、中国は中立を保つだろう」という見
解を読んで、金正恩は「中国に裏切られた!これはやばい」と感じ、一
方、アメリカは、「北朝鮮に反撃を加えても、中国軍は動かないというこ
とだ。これは中国からのゴーサインだ!」と判断したのだと筆者は言う。

「この(「環球時報」の)社説はあきらかに今回の朝鮮半島危機で最重要
な文書の1つである」と長谷川氏は述べるが、このことが解るかどうか、
そうだと判断できるかどうかが玄人と素人の分れ目になる。そんなことは、
私には思いもつかなかった。玄人の世界では、常識とされる基礎知識。そ
れすら持ち合わせないのは、素人の悲しさと言うしかない。

北朝鮮をめぐる軍事的情勢は、今後どのように推移するのか。その鍵を握っ
ているのはロシアのプーチン大統領だというのが、長谷川氏の見立てであ
る。中国のゴーサインを受けて、アメリカが北朝鮮に反撃を加えた場合、
ロシアはこれを座視するのかどうか。ロシア関係の玄人筋からは、長谷川
氏の見解とは一味違う、もっとおもしろい見解が聞けるかも知れない。い
ずれにしても、朝鮮半島情勢からはしばらく目が離せない。
コメント
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