編集委員・峯村健司、篠健一郎 2021年3月17日 朝日新聞
【 所 感 】
この得体の知れない無料の通信サービスが日本国内で流通しだした10年ごろ前、様々な友人・知人から、「LINEって知ってる?」などといわれ、幾度となく勧誘されたものである。
それ以降も、「LINE、なんでやってへんの?」などとよく言われ、スマホすら所持していなかった私は、「あのな~、そんな得体の知れんもん、なんで使わなあかんの?」というと、知人は、「今時、LINEやってないとか、仕事とかにも影響するで~」などといわれたが、無視。
しばらくして、当時、努めていた会社がペイペイとかふざけた名のキャシュレス払いを社員にも強要しだし、やむなく会社を〇〇。
昨年は、10年以上ぶりに再会した子どもたちに合わせるため、LINEアプリを落としてもらい、 "トーク" というもので通話する範囲で使用することになった。
しかしながら、こうした個人的な危機意識とは裏腹に、政府や地方自治体などが率先してLINEを活用していることに、正直、「アホかいな?」とは感じつつも、いずれ、ボロが出るだろうと思っていた矢先の今回の報道である。
この得体の知れない無料の通信サービス会社の使用を巡っては、これまでも問題がなかったわけではなく、LINEで繋がった者同士による、個人に対する誹謗中傷やいじめ行為というものが、社会問題化していたわけで、それによって生命を絶った人も少なくはなかったはずである。
また、ネット社会に限ったことではないが、様々な場面で目にするようになった『個人情報保護』とやらではあるが、各企業なんかは、『個人情報漏洩などを防ぐための努力をしています」とか、「個人情報の秘密は守ります」などといっては、顧客に対し、安心・安全さをアピールしてはいるものの、『本当のところ、どうなのよ?」と。
現在の日本社会に蔓延する、腐敗と堕落というものを考えたならば、各企業が利益無視のサービスを展開するなど信じられないことであり、いざ、事件や問題が発覚してからは、いつもながらの、「改善に努めてまいります」というのみである。
昨年に発覚したドコモ口座の事件(詳細は知らないが…)においても、企業トップの者が記者会見を開き、「セキュリティーが甘かった。今後は強化し、改善を計ってまいりたい…」といった感じで頭を下げたそうだが(当時、妻からそんな話を聞かされた)、「はぁ?なんで刑事告発せんのやろ。これじゃ、本質は何も変わらんと思うし、おそらくは、トップの人間も刑事告発されて困ることがあったんちゃうかな?」と、さらにドコモに対する不信感を抱くようにもなった。
しかし、我々一般人は、如何に危機意識を強くもち、己の身を守ろうとしても、日本社会全体がそれを許さず、得体の知れない物を押し付けてくるわけだから、本来ならば、憲法に明記されている自由権への侵害ともいえる。
NHKの受信料契約の義務の件ひとつ考えてみても、そして、今回のLINEの件とも合わせ考えてみても、近頃の日本社会の腐敗と堕落ぶりというのは、想像を絶するまでに達しているとみえる。