■ スー・チーは多彩な顔を持つ人物
さて、ミャンマーの民主化を掲げるアウンサン・スー・チー氏だが、その人物像というのは非常に多彩な顔を持つ女性というイメージである。
何がどう多彩かといえば、ひとつ目としては、その生い立ちであろう。
まず、スー・チー氏のお父さんというのは、『ビルマ建国の父』と呼ばれるアウンサン氏(日本名:面田 紋次(おもた もんじ) )であることは有名である。そして、お父さんであるアウンサン氏もまた、娘・スー・チー氏と同様に旧ビルマの民主化を願ったひとりでもある。(彼女もまた、偉大な功績を残した父の意志を引き継ごうとしているのかも…。)
そして二つ目としては、スー・チー氏の思想である。
彼女は敬虔な仏教徒らしいが、学生時代やその後の社会人となってからの行動などを考えると、仏教以外の多くの思想というものを吸収しているようにも伺えるのである。というよりも彼女はミャンマーの民主化を実現させるために、ありとあらゆる学問や思想を利用している…、と言ったほうがしっくりくるのかも…。
だから、冒頭でいう『多彩な顔』というイメージに繋がるのかも知れないわけであるが、これは同時に、芯(信念)がはっきりしていないということにも繋がり兼ねないわけであり、結果として彼女が政権を奪取してからも尚、ミャンマー国内は安定しないままの状態が続くのである。
■ 東南アジア地域における宗教紛争化の流れ
過去の歴史において多くのアジア人たちというのは、自分たちの地域や家族を守るための争いは行ってきても、食料や資源の奪い合いや、思想の違いによる争いというものを決して行ってこなかった…、というのが歴史事実であろう。また、アジア人たちというのは思想の違いごときでは、相手を恨まない特性を持っているともいえ、このような考えの土台となり支えているものこそが宗教的な観念だともいえるのである。(このことは現代のASEAN諸国連合の基本的理念となっているとも考えられるのだが…。)
しかし、こうしたアジア人の特性というものが近年崩れかかってきているようにも思えるわけで、事細かに話すと長くなるので簡単に考え申すと、東南アジアや南アジア地域などでおこる様々なテロ事件などを見たとき、そこにはいつも過激派と称するイスラム教徒たちが事件の首謀者である、ということになっているが、本当にそうなのか?という疑念も沸いてくると同時に、しかし、湾岸戦争やイラク戦争、また、IS(イスラム国)に代表されるような欧米諸国の中東情勢への関与などを考えてみたとき、ひとつの答えが見つかるのである。それは、イスラム教は単に利用されつづけているだけなのだ…と。
そして、ミャンマーやそれ以外の東南アジア地域でも同じようなことが起ころうとしている…、と思っていたころにロヒンギャ問題が起きてしまうのである。
■ スーチー側と軍部側が目指すもの、それは…
近年の世界情勢というのは、大小問わず様々な国々がグローバリズムの中に晒され、あらゆる問題と対峙しなければならない状況に追いやらてしまっており、ミャンマー政府もまた、そんな状況に追いやられてしまっている。
ロヒンギャ問題もそんなグローバリゼーションが引き起こした産物であるという観点からいえば、やはり行き過ぎた自由移民を推進する者たち(人道支援を盾に)こそが、ミャンマー国内をさらに混乱させているともいえるのである。
おそらくは、スー・チー氏側も政権を奪取した軍部側も、互いにそのことを深く理解していたとも考えられ、今回のように一滴の血も流さず(非暴力に)に実施された平和的改変というのは、まさにシナメディアが言った「大規模な内閣改造」というのも、あながち間違った認識(表現)ではない…、ともいえるのである。
しかし、これはスー・チー氏側も軟禁されることを承諾してこそであり、強権的に軟禁されたということであれば、やはり世界各国メディアがいう「クーデター」の表現が妥当だともいえるのだ。
どちらが本当のところかは分からないが、しかし、スー・チー氏側も軍部側も、互いに国を大事にしたいという思いは変わらないわけで、あの強くて逞しかったころのビルマ国の復活を目指している…、と、そんな風に思うのである。
■ 最後に
ところで、いわゆる軍事政権に軟禁されてしまったスー・チー氏ではあるが、過去に何度も軟禁された実績と、主婦として二児の子どもを育てあげた実績とを考えると、彼女の軟禁生活というのは、我々一般庶民が思うほど酷な状況にはないと考えるし、また、彼女の精神力というのも一般庶民が考えるほど軟(やわ)なものではないはずであり、彼女に同情するようなことは、反ってミャンマーにとっても、またアジア全体の地域にとっても良くないことように思うのである。
そして、本当の意味での民主化というのは、誰かひとりが英雄となり国を創りあげていくのではなく、国民が一丸となって良い国を創るんだという考えに至ってこそが、真の民主化だと私は思うわけで、本当の敵(偽善者ども)を欺くために、スー・チー氏側と軍部側とが一芝居を企てたんだとするならば…、まさに(*´з`)ムフフ♪なことである。(笑)
さらには、西洋列強や白人至上主義にとらわれることなく、自国のことは自国で解決するんだという、強い姿勢で今後の国家創りに励んでいってほしいものである。
※ いや~、ほんま、『ミャンマーを知れば世界がわかる…』、みたいなことをおっしゃられた元ミャンマー大使・山口洋一先生のお話しは実に分かりやすかったし、参考になりやした~!(*'ω'*)
★アウン・サン・スー・チーの実像