「三本の矢」
何人もの人間が力を合わせれば、非常に強い力を発揮できることのたとえ。
[使用例] 昔、毛利元もと就なりは三本の矢を一度に折ることのむつかしいことから、協力の大事なことを説いたが[海野十三*空襲警報|1936]
[由来] 一六世紀、日本の戦国時代の武将の毛利元就が、三人の子ども、隆たか元もと・元春(吉川氏に養子)・隆たか景かげ(小早川氏に養子)に授けたという教え。たとえば「常山紀談―一六」には、元就が臨終の際、子どもたちの数だけの矢を持ってこさせ、「多くの矢をひとつにして折おりたらんには細き物も折がたし(たくさんの矢を一束にして折ろうとすると、一本一本は細くても折るのはむずかしい)」と述べ、兄弟が心を合わせて行動するように遺言したとあります。
ただし、これは史実ではなく、元就の書いた「三子教訓状」が元となって生まれた逸話。この文書では一族の結束を説いていますが、矢に関する記述はありません。なお、古代ギリシャの「イソップ童話集」や、中国の「魏書―吐と谷よく渾こん伝」などにも、似たような話があることが知られています。