*アスリート×言葉*
圧倒的に強い自分でいたいと常に思っている
羽生結弦 フィギュアスケート
2019年、羽生結弦の取材で、彼はたびたび幼い頃の自分に思いをはせた。
「昔から、器用に自分の中で納得できるというところまでぱっとできる人間ではなかった。
何回も何回も積み重ねて、磨き続けて、何とかここまでやってきている。
究極に磨ききれた羽生結弦っていうのを、自分では想像はできるけれど、体現はできていない。
なかなか羽生結弦になれないなと思いながら過ごしている」
オリンピック連覇を達成しながらも、高いモチベーションを維持して自分と向き合い続けている羽生。その根本にあるものは、何なのだろうか。
「結局、勝ちたいのだと思う。(2018-19年シーズンの)いちばん大きな試合である世界選手権で負けてしまって、そこそこ自分も出し切れたと思う状態でフリーでも勝てなかった。
その悔しさが今、自分のモチベーションになっている。
その悔しさを、なんとか晴らしたい。圧倒的に強い自分でいたいと常に思っている」
羽生に対する周囲からの大きな期待やプレッシャー。それがあるからこそ、“苦しさ”に向き合うことができると言う。
「つらくて、逃げたいとか、こぼしかける時もある。
本当につらい、これ以上の努力はできないと思うくらいまで追い込むので、できなかったときにやっぱり苦しくなる。それでも、その苦しみを越えてでも、ノーミスしたいと思ってしまう。
その原動力が周囲の期待なんだと思う」
「期待に応えなければ、という責任感みたいなものも、ものすごく強いし、なんとか応えたいと強く思ってしまう。だからこそ、つぶされそうになることも多々ある。
結局、試合ではやるっきゃないって思ってやってるけれど…。
苦しくなるということはプレッシャーだと思う。ただ、そのプレッシャーがあるから、それに応えたいとすごく思えるのだと思う」
壁と扉があった
羽生結弦 フィギュアスケート
2019年を表す漢字は何か。
12月8日、グランプリファイナルを終えた直後の取材で羽生結弦が真剣な表情で答えた。
「壁もあったんですけど、扉もあったなと思っていて。扉のついていた壁もありましたし、逆にそれを取り付けた壁もあった。でも扉が無かった壁はいまだに、今自分の目の前に壁がある。苦しいという漢字にしようかと思ったんですけど、苦しんだだけではなかった」
“壁”や“扉”が何だったか、具体的に言及したわけではない。
ただグランプリファイナルのフリーで成功させた「4回転ルッツ」について、羽生は「壁」という表現をしている。2017年、NHK杯の公式練習中に4回転ルッツで転倒。足首をけがし、以来、演技の中に組み込んでこなかったが、グランプリファイナルでは4回転ルッツに挑戦。成功させた。
「ようやく壁を乗り越えることができたという感じだ」
そして“扉“を取り付けたという“壁”。思い当たるのが「4回転アクセル」だ。
グランプリファイナルのフリーの前日練習で繰り返した4回転アクセル。
着氷こそできなかったが、挑戦したことで得たものは大きかった。
「絶望的な状況の中で、ここで何かを残さなきゃいけないという使命感がものすごくあった。
4回転アクセルというのは“王様のジャンプ”だと思うし、それをやったうえで、ジャンプだけでなくてフィギュアスケーターとして完成させられるものにしたいという気持ちは強い」
結弦くんは、ブレることのない、
芯を持つ強い人。
いつも芯が通っている、
魅力的なアスリート。
自分の生きるべき道、信念、
価値観が明確であると思っています。
自分の意見をしっかりと持ち続け、
周りに振り回されない自分の軸を持っている・・・
そういう結弦くんにとても憧れます。
誰に何と言われても、自分の信じたこと、自分が思ったことをひとつひとつ積み重ねていくこと。
自分らしく生きながら、実績を残し、
自分の未来を変えていく
結弦くんをこれからも応援していきます。
読んでいただいてありがとうございました。
*画像は感謝してお借りしました。