路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ

2024-05-04 07:01:05 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・04.29】:島根1区補選で自民敗北 改革求める民意受け止めよ 

 政治資金パーティーを悪用した裏金事件の実態解明と、政治資金の透明化に対する自民党の後ろ向きな姿勢が駄目出しされたと言えよう。

 きのう投開票された衆院島根1区の補欠選挙で、立憲民主党元職の亀井亜紀子氏が、自民党新人の錦織功政氏との直接対決を制した。「自民王国」と呼ばれてきた島根県の小選挙区で、自民党が敗北したのは初めてだ。

 「政治とカネ」問題を巡る逆風を受け、同時に行われた衆院東京15区、長崎3区の補選に自民党は候補者を擁立できず不戦敗している。3補選で全敗を喫した結果に岸田政権は真摯(しんし)に向き合い、信頼回復に向けて政治改革に取り組まなければならない。

 島根1区補選は細田博之前衆院議長の死去に伴う。細田氏は裏金事件を起こした安倍派の前身派閥で会長を務め、高額献金被害の訴えが相次いだ世界平和統一家庭連合(旧統一教会)側との接点も問題視された。自民党政治の暗部が問われた選挙でもある。

 衆院選挙制度が小選挙区制に移行後も、自民党では選挙戦の多くを派閥が主導した。通常なら弔い選挙になるはずが、安倍派は裏金事件で解散に追い込まれた。逆風の中、「細田隠し」の選挙戦に終始するしかなかった。

 亀井氏に先行を許す中、岸田文雄首相をはじめ党幹部が相次ぎ選挙区入りしたが、形勢は転換できなかった。裏金事件が党支持層に生じさせた深刻なひび割れが浮き彫りになったのではないか。

 加えて、自民党は政治資金規正法改正の独自案を持たぬまま告示を迎えた。公明党、野党の猛反発を受け、慌てて取りまとめるなど迷走。その内容も資金の透明化を阻む抜け道を温存するものだった。

 そんな姿勢を有権者は「改革への熱気が感じられない」と判断したのだろう。家計を苦しめる物価高への対応や少子化対策の財源問題も批判票につながったとみられる。

 政治改革を求める民意は示された。自民党は衆参両院の政治改革特別委員会などを通じて野党と協議し、後半国会で規正法の改正を実現することが求められる。

 不正が起きた際の議員の責任の取らせ方、パーティー収入や政策活動費の透明化、企業献金の存廃など、他党が示す見直しの論点は出そろっている。「政治活動の自由」を口実に背を向けることは許されない。改革の出発点が裏金事件の実態解明にあることも忘れてはならない。

 通常国会は6月23日に会期末を迎える。首相が衆院解散・総選挙に踏み切る可能性も指摘される。水面下では9月の自民党総裁選に向けた動きが活発化しそうだ。

 内閣支持率の低迷にあえぐ首相だが、有力な「ポスト岸田」がいない中、政局の主導権は手放していない。現時点では補選敗北の責任を問う声も高まっていない。

 首相は政治の信頼回復へ、リーダーシップを発揮するべきだ。お茶を濁すような規正法改正ではさらに国民の離反を招く。政権延命が最優先と見透かされるだけだ。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年04月29日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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