BBの覚醒記録 

無知から覚醒に至る一つの記録です。「是々非々」がモットーで必要なら、
支持する政治家や弥栄を願う皇室への批判も厭わず。

日本への恋歌

2018-12-26 | 売国奴

クィーンつながりでもないのですが・・・・
「歌」という粗いくくりで、再々掲載です。

 

 

時々間違いながら、時々つまづきながら、折々のつたない思いを
綴ってまいりました。

何度か「もうやめます」と宣言、その都度皆様の声援がへたり込んだ
BBの手を掴んで立ち上がらせ、背中を押してくださいました。

何度かへたり、何度か立ち上がり記事を書き続けて来たそのすべては
日本というこの国へのラブレターなのだった、と思います。

以前、その思いを詩とも雑文ともつかぬ形で記したことがあります。
いくらか手を入れての再掲です。

 

わたしは、桜

 

わたしは桜。いつからこの国に根付き咲き続けてきたのか、
記憶を辿っても、もはやおぼろに霞むばかり。
霞か雲か、だから霞んで咲くのだろう。

霞か雲か匂いぞいずる・・・
香りなき霞に、この国の人々は香りを添えてくれる。
わたしが放つ気配を匂いと感じる人々の心ばえに
わたしはなおいっそう、咲き誇る。

「あなたは何いろ?」とおさな子が問う。

わたしは桜いろ。ピンクでも白でもないの。
それが日本の花、日本のこころ。

世界のどこにもない、いろ。

花びらのひとひらひとひらは寡黙で目立たないけれど、仲間とこころを
結び合い、いっせいに咲けば爛漫と、世界の人のこころを揺する。

ひとひらは淡いけれど、幹はむしろ墨色に近く毅然と主張を持ち、
花びらの曖昧模糊を幹が際立たせる。

四月の青空に席を譲りながら、でも譲ることでわたしは際立つ、
空の濃い青がわたしを鮮やかに映えさせてくれる。

月あかりには幻花となり、ぼんぼりの灯火のゆらめきに
胡蝶になって羽を震わせる。

わたしは桜。雨にも風にも逆らわず咲く。

雨には雨の風情、風に散らぬかと人の
こころの優しさをかき立てる。

風に身をゆだねる喜び。

さぁ風が誘う、そろそろお別れの季節よ、と。
枝から、ついと離れて人々の髪に肩にはらはらと、花吹雪。
子犬の濡れた鼻先をくすぐって散る。

入学式の母子に寿ぎのふぶきを降らせましょう。水に散り敷けば、花筏となって
ゆるゆると流れ、人は穏やかなまなざしで見送りながら、
やがて訪れる若葉の季節を予感する。

わたしも、枝に小さな緑のビーズ玉をつけて夏の先触れを告げましょう。
雪にひっそりと、寒風に立ち尽くしながら、でも春になればわたしは
咲くのよ、と人々にささやく。

別れがあるから、出逢いが切実に美しい。

だから、わたしは散る。

わたしは桜。卑弥呼のまつげに、勾玉に、日輪を照り返す祭祀の鏡に、
紫式部の十二単に花びらを散らし、
空海の足元にも散り敷いた。
舞妓さんの、ぽっくりの一足ごとにわたしたちは
笑いさざめきながら舞い上がる。
すめらみことのお庭にも無邪気に訪れる。


刀匠が神を念じながら打った刀剣の先にさえ。
しらじらと澄んだ日本刀の静かな輝きにもわたしは呼び寄せられる。
その優美な曲線と静謐。人を殺めるだけが目的の野蛮な武器ではないことを
わたしは知っている。

飛鳥奈良ののどかな雅を、平安絵巻の絢爛を、鎌倉の剛毅を、
室町の侘び寂びを、江戸の賑わいを、
明治を大正を昭和を咲き続け、
二つの戦のさなかにも咲き続け、この国の行く末を見守ってきた。
黒い雨が通り過ぎたあの街の野辺にも蘇り咲いた。

野末に倒れた兵士が叫んだのは母の名、末期に見たのはわたしの姿。
戦の荒野にわたしは咲けないゆえに、あなたのこころに咲き続けましょう。
祖国の空に手を差し伸べながら息絶えた兵士たちよ。
靖国でまた・・・。あなたを愛しています。

わたしは、日本のこころが創り上げた花。日本が見た夢。
わたしは花の形をした歌、今日も日本への恋歌を歌います。

わたしは桜。日本のこころ。わたしは桜。そして、あなたが桜。
あえかに優しいけれど絶えはしない。