◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

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商社、悪夢再び?

2009-08-04 | 会計・株式・財務
ご無沙汰しました。
いかがお過ごしでしょうか。

さて早いもので、第1四半期決算がゾロゾロ出てきております。

一部自動車メーカーのようにポジティブサプライズなものも出てきたりして
底入れムードは確かに出てきました。
それはそれで良しとしましょうか。


しかし、・・・・です。

その反対にこれから先が思いやられる・・・・・と思わせる決算もちらほら。
今回は、たまたま見たある総合商社の決算について簡単にコメント。




まずは、この決算発表総合表(1枚目)をざーっとご覧下さい。







どうでしょうか何か気づいた点、ありませんでしたか?






まず、右側の要約貸借対照表。
この会社は棚卸資産として販売用不動産を持っていたのですが
そのうち266億円を固定資産(投資不動産)に振り替えております。
賃貸として活用するのでしょう。


何故か? お分かりですよね。
棚卸資産の評価損計上を逃れるためだと思われます。
評価損を計上するとなると営業利益を直撃します。
1Qでは営業赤字でしたのでこれ以上の出血は避けたかったのかも知れません。


これだけではありません。
次に目についたのが、中央下段の「事業セグメントの組み替え」。
元々「建設・木材」事業にあった不動産事業を分離して「その他」へ編入。
これに海外現法の関連事業も統合しているようです。

これも穿った見方をすれば、
「減損逃れ」をしようとしているのではないか?と思った次第。


つまり、上で見たように、ちょっと問題になりそうな販売用不動産を
賃貸に振り替えたまではいいけれど、
しっかり収益を確保しないと減損の対象となりうる。

そこで、セグメントを大きく、かつ比較的儲かっている海外事業などを
加えることにより、減損の兆候が出ないようにウヤムヤにする・・・・・・
(あくまで邪推ですよ)。



まっ、金額が金額なのでこの会社が直ちにどうこうなるとは思いません。
しかし、悪いこといいません、早目早目に、
将来の問題の芽は摘んでおきましょう。


・・・・・・・といのも、前歴があるんですから。

会社は毎日つぶれている (日経プレミアシリーズ)
西村 英俊
日本経済新聞出版社

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著者は、今回取り上げた会社の元社長です。
今年1月、拙稿
「社長は会社で一番の危険人物だ」
で紹介しました。

ではなぜ「社長は会社で何故一番の危険人物」なのか。


それは、(アナリスト受けをよくしようとする余り、)
社長は希望的数値目標を掲げてしまう。

会社は健気にもそれを立派に達成してしまうが、往々にして背伸びした決算
となり、翌期以降の決算に無理に無理を重ねて
不良要素や粉飾まがいの決算要因を抱え込むことになる。

つまり、会社は破綻に向かう・・・・・・。



歴史、繰り返そうとしてませんか?

またいきます。


なかのひと

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良かった (道草)
2009-08-10 01:00:45
お元気そうでよかったです。今年はなんだかヘンな天候ですしね。んじゃ。
よかった (道草)
2009-08-10 01:02:08
お元気そうでよかった。安心しました。変な天候が続いていますから、ご自愛を。
なかなか (タケチャン)
2009-08-17 21:26:18
駄洒落ですが、そうじつ、そーですか。
なかなか素人目には分からない事象ですね。今後不景気が続いて、破綻企業が増えると思われます。中堅どころが危なくなりつつあり、注目したいところです。

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