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お見事!オリンパスの「サブマリン減損術」

2011-10-20 | 会計・株式・財務
ご無沙汰しております。久々にまじめなネタを。

私も愛読している月刊FACTAという名の「内視鏡」が炙り出したオリンパスの闇。
19日には当社から過去に買収した国内3社の概要と減損処理の概要が発表された。⇒リリース

買収は平成20年4月に完了。リーマンショックもあり平成21年3月期で膨大な減損損失が発生している。

◆アルティス(平成17年10月設立。平成18年5月~平成20年4月にかけて買収)
(東京都港区麻布台1-11-9 CR神谷町ビル4階) 資本金488百万円
油化プラントを核にした資源リサイクルなど  
買収額 28,812百万円  →減損19,614百万円  68%減損

◆NEWS CHEF株式会社 (平成15年8月設立。平成18年5月~平成20年4月にかけて買収)
(東京都港区麻布台1-11-9  CR神谷町ビル5階) 資本金499百万円
調理品の製造・販売、食品容器の製造・販売など
買収額 21,408百万円 →減損17,699百万円  61%減損

◆株式会社ヒューマラボ (平成15年8月設立。平成19年7月~平成20年4月にかけて買収。)
(東京都港区麻布台1-11-9 CR神谷町ビル)資本金 439 百万円
健康食品や化粧品の販売など
買収額 23,199百万円 →減損18,370百万円 79%減損

はじめ住所を見たときに3社とも同じで、「ペーパーカンパニー?」と思ったが、各社ともHPがありそれなりの企業実態がありそう、
(買収した後に同じビルに集めた可能性もあるし…。)

買収完了直後での多額の減損。確かにリーマンショックの衝撃は大きかっただろうが、それを割り引いても、大きな疑問が残る。

①なぜ、設立間もない会社にかくも多額の企業価値を認めるに至ったのか?
 アルティスは、設立後半年から買収を開始している。何かおかしくない?

②なぜ、各社とも時間をかけて買収したのか?段階的に取得しなくてはならない何らかの事情があったのか?
 平成20年3月期の有価証券報告書では、「アルティス他2社が持分法適用会社から連結子会社になった」旨の記載がある。これは邪推の域を出ないが、段階的に取得することによって企業結合注記の開示を避ける等の効果を狙ったのではないか。だとすると、買収当初から問題あり案件と自覚していたのか?・・・・だとすると、確信犯?


③なぜ、平成21年3月期の決算説明会資料等において、これら損失も含めた巨額の特別損失に関する詳細な説明がなされていないのか?
この一方で、「まぁ、一過性の特損だから仕方ないか・・・・」で済ませてしまった株主・投資家に責任の一端があることも忘れてはならないと思う。

④そもそも、なぜ、今日にいたるまで、巨額の減損の実態を開示せずに済んのか?
各社とも巨額な買収金額であるのに、開示情報が極めて乏しいことに強い違和感がある。



④は深刻です。一体何のために有報やIRがあるのか。開示制度の根幹を揺るがしかねない問題でもあると感じたのは私だけでしょうか。

それにしても、ギリシャ神話で神々が住むというオリンパス山から社名を取ったオリンパス。
とんだ貧乏神・厄病神にとりつかれたものだ。

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