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M&Aとのれん代

2005-08-30 | 事業再生・M&A
8/30日経企業財務面で「のれん代」会計をテーマにしたコラムがあった。


国際的な会計基準のコンバージェンス(収斂)の動きの中で、日本の会計基準は、
藤沼日本公認会計士協会会長さえも「特殊性が目出ってしまうかもしれない」と
弱気にさせるほど追い詰められている。


槍玉に挙がるっているのが「のれん代の償却」。
(のれん代=買収価額-買収先の純資産価値)


理論的に見れば、買収後の事業について継続企業として価値が維持される限り、
のれん代は償却すべきでないだろう。この考えが欧米基準の根幹を成してだろう。
そして、のれん代の非償却への改正は昨今のM&Aブームの起爆剤となっているだろう。


しかし、実務面では時価の計算方法などで「恣意性が働く」おそれはある。
のれん代を減損会計の枠組みの中で処理をする欧米基準では、
本来はのれんの減損が必要なケースでも結果的に減損が認識されなかった場合、
「自家創設のれん」の計上をおこなったことになる。


思うに、企業側がきっちりガバナンスを働かせて適正に処理できれば、
欧米基準でも問題ないだろう。
結局は、基準設定側が企業を「性善説」か「性悪説」どちらで見ているかの
違いではないか。


欧米企業は「のれん非償却」基準で日本企業をM&Aのターゲット
とすることができる。
買収直後はのれん償却は無いだろうから、買収するだけで増益は可能。
しかも、前から述べているように、少数株主持分さえも
純資産にカウントされようとしている。

日本は本当にこのままで良いのだろうか。
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