おジャ魔女どれみと徒然

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ハウスジャックビルドについて、そのジャックのたてた家

2024-05-13 10:44:00 | シリアス・サスペンス

 『ダンサーインザダーク』のラースフォントリアー監督作。
 カンヌで公開された時は退出者続出という、新たな胸糞映画の爆誕ですw

 ストーリーは、

 1970年代、アメリカ・ワシントン州。
 建築家を志すジャックは、ある日、1人の女性を殺してしまう。

 それから12年間、ジャックは殺人に取り憑かれ凶行を続ける。
 これは彼が語る5つの出来事──。

 「人殺して家作ろう!」。話としてはそれだけなんですが、名匠トリアー監督に掛かれば、それが映画になると。
 トリアー監督はこの映画のためにシリアルキラーを研究し脚本に仕上げたという。

 その研究が実ったか、まるで本物の殺人鬼の供述を聞いてるかのような圧倒的なリアリティ。
 俺は見た瞬間、引き込まれました。まず映画としての完成度が凄いと思う。

 まぁ、途中退出する人の気持ちも分かるけどね。とにかく狂ってますこの映画w
 ジャックは自分の殺人を芸術と称し、身勝手無慈悲な行為を続けます。

 犯行文を新聞社へ送り追われるのを楽しんだり。死体で人形遊び。おっぱい財布。
 殺人鬼の心情を丁寧に描いてるけど、「それがどうした」ってとこもある。

 無意味な内容なのは確かですが、俺は面白いと感じましたw
 本当に人それぞれ、好みが分かれると思うこの映画。

 ラストだけ微妙。どうやらダンテの神曲をオマージュしたらしいですが。
 どうせなら最後まで写実を貫いてほしかったが。何で最後だけ抽象的?

 絶対オチが思いつかなかったんやろw
 ここだけトリアー監督のお茶目な部分。洞窟探検。無慈悲な殺人鬼の話だけど、最後だけ可愛げが出てた。

 同類だと『ファニーゲーム』って作品がありますが。
 俺は断然『ハウスジャックビルド』が好きです。

 では、また。




オッペンハイマーについて、そのマンハッタン計画

2024-05-06 09:58:00 | シリアス・サスペンス

 クリストファーローラン監督最新作。
 原爆の父・Jロバートオッペンハイマーの半生を描いた超大作。



 物理学者として異彩を発揮。
 ナチスとの技術競争を征するため、アメリカ政府から《マンハッタン計画》の総責任者へ抜擢。

 1945年7月16日、《トリニティ実験》。
 理論上不可能と言われた原爆開発を成功させる。

 1945年8月6日、広島。8月9日、長崎。
 
 後、1954年。スパイ容疑をかけられ公職を追放される。(オッペンハイマー事件)

 1959年、アメリカ原子力委員会会長・ストローズへの公聴会。
 オッペンハイマーを意図的に失脚させたとし、商務省長官へ内定していたが米上院での裁定で否決される。

 1963年、オッペンハイマーはアメリカの物理学賞エンリコフェルミ賞を授けられ、これまでの汚名が公式に撤回される。
 


 というお話。
 オッペンハイマー事件たる秘密聴聞会とストローズの公聴会が交互に描がかれつつ、オッペンハイマーの人生を振り返る。

 結論から言うと凄い作品です。
 上映3時間という長丁場。一見堅苦しい印象を受けそうですが、全く退屈しません。

 ここはノーラン監督の手腕でしょう。
 音響が工夫されてて映像だけでない、総合的な芸術に仕上げてる。とにかく凄い。

 でも、まあ、何と言ったら良いのか。
 日本人としてどう見ればいいのやら。

 自然と恨みは沸かない。
 オッペンハイマー1人に背負わせてもなと思うし。

 何とも言えない苦み。
 本当に説明しようがないが、オッペンハイマーが何かの扉を開ける瞬間を確かに見た。

 それは破滅への道なのか、はたまた……。
 オッペンハイマーの罪はまだ始まってないと思う。彼が罪と感じていたかは分からないけど。

 原爆はまだ日本にしか落とされていない。
 彼の罪は核兵器が日本以外に使用された時に問われると思う。始まると思う。

 核兵器は世界中に広がり、核の脅威が囁かれ、それはまだ現実じゃない。広島長崎の過去に留まり続けている。
 ただ、それは確実に起きる。今更それを恐怖する人間はいないだろうけど、だからこその苦み。

 ただの映画では収まらないクオリティ。
 映画で核ミサイルが空から降り注ぐ描写があったが、これは予言になるのか否か。

 人類が共有する絶望の味。
 では、また。



ロストフライトについて、そのトランジット

2024-05-03 10:01:00 | シリアス・サスペンス

 『鬼太郎誕生』見ようとした時、目についた。
 やたら評価高い作品だな〜って。で、よく見たらジェラルドバトラーやないか!!w

 去年、バトラー主演作が2本あり『カンダハル』の前に封切られた映画。
 日本では公開が前後したらしいが。まぁ、どうでもいいことだw

 これは見ないことには始まらないでしょw
 本能が囁く映画だ。早速視聴。

 やたら評価が高いから、どういう映画なんや?と思っていたが、相変わらずのバトラー節で安心したw
 多分見る人ももう分かってるでしょ。脳死で高評価押してる奴らがいやがる!w

 ストーリーは、悪天候で操縦不能に陥る飛行機。とある孤島に不時着したが、そこは反政府ゲリラの根城だった。
 もはやバトラー自身も自覚してるのか、お家芸たるコテコテのアクションスリラーです。

 ダイハード✕クリフハンガーみたいな。
 今回、バトラーは機長役でキレのあるアクションやら無双ではないけど、「ぜってー死なないだろコイツ」って無敵フラグはビンビン。

 先が読めないみたいな緊迫感はなし。
 人質救出するわ墜落した飛行機をまた飛ばすわ、これはこれでまた別の無双かw やっぱいつものバトラー作品ですw

 コテコテ過ぎて逆に新しい。往年のアクション映画で考えなしで見れる。
 けっこうヒットしたらしく続編決定。まぁ、次作はガスパール主役でバトラーはもう出んから興味ないが。

 ちょっと評価が高すぎとはいえ、普通に面白い。
 GW、お酒片手見るのに丁度良い作品。

 では、また。



ブラックサンデーについて、そのスーパーサンデー

2024-04-29 11:14:00 | シリアス・サスペンス

 ベトナム戦争の帰還兵であるマイケル。
 しかし終戦後、帰還兵に対するアメリカ国民の反応は冷たかった。

 国のために戦った兵への冷遇に激怒したマイケルはパレスチナ過激派『黒い9月』の協力を得、テロを計画。
 1月に開催されるスーパーボウルの会場に爆弾を積んだ飛行船を突っ込ませる。

 その計画を察知したイスラエルの諜報機関モサドはアメリカ政府と連携し、テロの阻止へと動く。

 原作は『羊たちの沈黙』でお馴染み、トマスハリス氏の小説。
 劇中に登場する『黒い9月』は本当に存在した組織で、1972年にかの有名なミュンヘンオリンピック事件を引き起こしています。

 1977年公開、リアリティ満載の本格サスペンス映画です。
 最近、国際情勢を予見してるとかで話題になってたので見てみました。

 イスラエル・パレスチナの複雑な問題といい、正鵠を射るような内容。
 黒い9月のメンバー・ダリアもガザ出身という設定。

 40年前の映画だし創作ですが、時を経て現実現代と照らし合わせると何だか奇妙な感じ。
 似てる非なる話だけど切っても切れない。巡り巡って現代に帰ってきたかのような作品やと思った。

 日本人船長が酷い扱いw まぁ、この当時はテルアビブ空港やバーグ事件など日本人のテロリストが暴れ回ってて。
 映画が公開された1977年にはダッカ事件も起きています。正に騒乱の渦中に生まれた作品なんやな。

 国際感情が反映されてるような描写。
 仕方ないし、何より日本人として忘れちゃならないこと。

 最後は何だか後味が悪い。別にテロが成功したらいいのにとまでは思わないが。
 「アメリカイスラエルざまぁw」とか、そんなことは思わないが、胸に苦みが残る。

 病床でカバコフが言ったセリフ。「真の平和」か。
 世界も戦争も敵も味方も同じ、犠牲者も。

 どんなに殺人を倦んでも戦いは終わらない。
 小説や映画とは違う。でも、そこだけは現実と変わらない。

 では、また。



ヴィーガンズハムについて、そのイラン豚

2024-04-03 08:13:00 | シリアス・サスペンス

 2021年に公開されたフランス映画。

 肉屋の夫婦が嫌がらせをしてきたヴィーガン活動家を誤って殺してしまい、証拠隠滅のためにバラバラにして店で販売したら大繁盛してしまうというブラックコメディ。

 グロ映画、1ヶ月ぶりでブランク明けやが、結構グロいっす。
 血の赤、肉の赤がなんか鮮烈というか、オエッてなりましたねw

 B級ですが雑な感じはなし。完成度、話の面白さ、文句なしの作品。
 ただ、人肉が旨いだけの描写はどうなんかねとは思う。人肉はプリオンだのクールーだの感染症の恐れがあるし。

 まぁ、そういう理屈抜きのコメディってことなんやろうけどね。
 ラストが微妙。スタートダッシュは良かったけど、段々盛り下がっていく。

 そこは良くも悪くもコメディ作品って感じ。
 では、また。