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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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デシテヨ姫の悪夢

2017-11-07 | 別口入力にまつわる諸問題
(前回のお話の続き)
デス太郎(やれやれ、まったく面倒くさい事に巻き込まれてしまったみたいだな…)

虚を突かれたデス太郎に向かって、女性は問いかけました。
「ごめんあそばせ…アタシはデニヲハランドの旅芸人・テヨ姫といいます。」
「ところで今あなた、アタシたちを前にしてそのご様子…。よもや『面倒くさい事になったな』なんてお思いでして?」

デス太郎「面倒くさい?…ああ、確かに思ったよ。でもそれがどうしたというのか。(ああやっぱり面倒くさい奴だ)」

…それを聞いたテヨ姫は強い調子でこう返してきました。
テヨ姫「…そうよ。それよ。 面倒くさいのよ。」
デス太郎「ん…?ところでなぜ俺の考えていることがわかった?」
テヨ姫「細かい事はいいから。考えてもみなさい。」
   「『-でしてよ』を入力するのにいちいち [でs]→[×r]→[てよ]って打たなきゃならないなんて、あんまりじゃないのっ!」
   「『です+たい』や『です+太郎』などと違って『でして』は『です』の立派なバリエーションよ。『でし』で切るなんて考えられないわ。」
   「『でした』が[でs]→[た]でスムーズに入力できるのなら、『でしてよ』も[でs]→[てよ]で入力できて当然じゃない。」
   「1ストロークを甘く見ないでちょうだい。もっと配慮が必要よ。」
お供の者「まあまあ、この者は『デニヲハのいろは』も知らない無作法者のようですから、姫様…ここは穏便に。」

デス太郎「あんたの言っていることもわかるが、生憎別口入力では接続助詞の『て』の採用は見送られたんだ。あきらめるこったな。」
お供の者「うちの姫様は腹を空かせておるのじゃ、その物言い、いささか無礼であるぞ。」
テヨ姫「ゲボ爺は黙っていて」
デス太郎「…いや、待てよ。…そうか、動詞活用形『テ形』という考え方を見落としていたな。」
テヨ姫「どうやら察しの良い若者だったようね。」

デス太郎「今日まで学校文法ではなぜか頑なに忌避されてきた動詞活用形『て・フォーム』すなわちテ形…。」
    「世間一般の学校文法で馴染みがあるのは『未然連用終止連体仮定命令』という呪文のようなフレーズ…。」
テヨ姫「でも実用本位の外国人向け日本語教育の現場では動詞活用形を『テ形』『マス形』『ナイ形』のように分類することが普通におこなわれているわ。」
デス太郎「語の形態に基づいた分類方法だな。」
テヨ姫「『です』に続くのは「ので・とは・から・けれど・し』といったものばかり想定していて語の変化を考えていない。活用にももっと目を向けなきゃいけないわ。」
デス太郎「しかし活用と言ったって、『テ形』はそもそも連用形に接続助詞『て』のついたものが元だから単に連結って捉えるのが国文法なんだが?」
テヨ姫「『て』は分離したパーツではなくむしろ動詞の変化した語尾と考えるのが妥当だわ。」

デス太郎「…確かに、形容動詞の活用語尾『な』『だ』に関しては別口入力が採り入れられている。」
    「だが爺さんの言った『一苦労でして…』の『て』は接続助詞だからテ形でいいとして、あんたの『でしてよ』が問題だ。」
    「『てよ』はいわゆる女性語で使われる終助詞『て』+語調を整える間投助詞『よ』だから、やっぱり分離しているんじゃないか?」

テヨ姫「もう、『木を見て森を見ず』みたいなこと言わないで。」
   「実際にこうして不具合が生じているのだから、きちんと対処すべきよ。わかっているの!?…[○R][×r]キーだけでは解決したわけじゃないのよ!」

その時、二人の剣幕に割って入るように、従者の老人が咳ばらいをしながらこう言いました。

ゲボ爺「えー、オホン…ッ! エキサイティングなところすまんが、ここはひとまず食事にせんかのう。」
   「空腹で議論するとろくな結果にならない…。何かうまいものでも食べながら、じっくり話し合ってみるのもよかろうて。」

(このお話はあともう少し続きます)

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