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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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誤打鍵自動修正機能の活用も視野に入れて

2018-11-02 | ジャンル横断的な問題
タイピング時にはミススペル・誤打鍵がつきものですがすでに先行技術ではスペルチェッカ・コレクタなどの実用化も見られます。
日本語入力における誤打鍵修正の可能性については、
未知語の復元 - 誤打鍵特性利用による語の絞り込み効果について(野田雄三 1994)
で詳しく解説されておりますが、今回はこの文書を参考にして記事をまとめていきたいかと思います。

まず意図しない誤打鍵のうち最も多くのものは横隣接の間違えという配置の物理的な要因によるものが多いのではないでしょうか。
前提として英語QWERTY配列での誤打鍵を考える上において、

・余計な一文字の挿入
・足りない一文字の欠落
・一文字の他の文字での置換
・隣接文字の交換(順序入れ替わり)

などがあるかとは思いますが、ペンタクラスタキーボードの議論では簡単のためにこれらは検出対象には含めず、もっぱら
<同一クラスタキー内での物理的隣接文字の置換>
にだけに的を絞ってオートコレクトを作動させるときについて考察していきたいと思います。
つまり、「たちつてと」なら「たちつてと」の同行内(同じクラスタキー)での打鍵間違えを修正する(「た」を「ち」にするなど)機能についてであります。
5角形のクラスタに、同行の文字を集積させたこのキーボードに則した最適形を探っていこうというわけです。

QWERTY配列での横隣接では[i-o]母音の隣接や[s-d]子音の隣接などがありますが、それに加えて[k-l]のようにlが小書き文字の始動要因となる厄介な隣接もあって概してまとまりがなく複雑なものとなっています。
ですので日本語入力環境としては誤打鍵修正機能の道筋はなかなか現実味に乏しいものでした。
しかしペンタクラスタキーボード配列では同行クラスタ隣接で完結しているので見通しがつきやすくかな入力の発展形で80種近くと多くのかなキーがあるので分別性も高く復元データ参照も効率的にできるのではないでしょうか。
いよいよ日本語入力での誤打鍵自動修正機能も現実性を帯びてくる段階に入ったといえます。

もちろん5角形のクラスタキーの押下機構をどうするのかという問題は根本的にありますがそれはさておきクラスタキーの打鍵特性を事細かに考察していくことでソフトウェア的な突破口を求めることはできます。
まず五角形の形から分析しますとi段e段のようにクラスタの外側にあるもの同士とu段のように内側にあるものとではミスタイプ交錯することにしては若干分離しており混鍵する可能性は少ないのではないかという推測があります。
また「あ段」はキートップにあるので比較的適意の打鍵である確率が高いのではないかという目算があるのも同様です。
また「かかく(価格)」「かくく(各区)」のように連続打鍵部分(かか、くく)はFix度が高いという運指の癖もヒントになるので候補削減に活用できるかと思います。
このような打鍵特性をうまく盛り込んで復元語の候補をスリム化することができれば負荷を最低限に抑えることができるのではないでしょうか。

でにをは別口入力でお膳立ては整っているので欲を言えばイディオムのつながりや文脈解析みたいなものまで判断材料にできれば可能性は広がってくるかと思います。
特に短い2文字3文字の単語の誤打鍵復元は困難であるので「運がいい」「縁がある」「韻を踏む」のように前後のつながりをスコープに入れられれば絞りやすくなり弱点も克服できます。
ここだけでも充実させれば効果は大だと思うのです。
でにをは別口入力を含んだ一連の文章は細切れ変換ではなくひとまとめ変換がペンタクラスタキーボードでは推奨されているのでより全体像をつかんだ文脈解析が活躍できる素地は十分あります。
もちろん別口入力があることでやっかいな一文字助詞はほぼすべて弁別してあるのでわずかな文字列であったとしても混線候補懸念は最低限避けられます。


このようにまだ思索の段階ですが条件は整いつつあります。
「なんとも使い勝手が悪そうなキーの配置だ」と苦言を呈されることもあったこのキーボードの配置ですが、これらの策で少しでもそのイメージを払拭できれば良いなと思います。
実際に動作させるには候補提示の負荷との兼ね合いが読めないところではありますが今の技術で何とか克服できないかと淡い期待を抱いています。
なにより五角形のキーに同行を集積しているおかげで配列上覚えなくてはいけない単位は実質16個+α(でにをはキーは別)ですし、愚直に「あいうえお」が並んでいる構成配置にするのはこの形そのものが欲する必然のわかりやすさですからそれを活かす手段はいかなるものでも取り入れたいと思っています。

あと補足的には盤面下部の「でにをはキー群」の領域のキーは誤打鍵修正対象には考えてはおりませんが、それならば少しキーが小さいのではないのか…という懸念もありましたので、
こちらは物理的に各キー(丸型四角形)を均等に大きくしてしまえば良い…とも考えております。
不便なりにもアイデアは出てくるもので、持って生まれたカタチの個性をそのままにいいところを伸ばしていけばいろんな知恵が出てくるだと信じてこれからも検討を続けていきたいです。

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