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「でにをは」別口入力・三属性の変換による日本語入力 - ペンタクラスタキーボードのコンセプト解説

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文にはカロリーというものがある…しどけなく連用承接

2022-11-21 | 文解析は副詞が鍵

カロリーと糖質が混同してしまっているのでWebから情報収集をして一旦整理してみようかと思います。
ちょっとにわかリサーチで自信がないのですけれど五月雨式にぽつぽつ出していきます。

まず、カロリー摂取量よりも栄養バランスが大切ということが大前提にある、というのはことわっておきます。
そのうえでここで知った衝撃の事実なんですが
脂肪の原料は脂質ではない、むしろ高カロリーが悪なのではなく、摂り過ぎた糖質が悪なのである、ということ。
じゃあカロリーなんて指標はあまりアテにならないじゃないかよ!と戸惑われる方も多いのではないでしょうか。
そうなんです、脂肪は悪者じゃないんです。脂質と糖質では糖質の方が脂肪になりやすいという厳然たる事実があるのです。
摂った脂質がそのまま脂肪に転換されるのではなく、むしろ血糖値の急激な上昇がインスリンの作用で脂肪合成を高めてしまうのです。
脂質はホルモンバランスの維持や細胞膜の原料に欠かせないものでありますし体温維持とも深いかかわりがあるといいます。
ここで断っておきますが私は油マシマシ至上主義者ではありませんし霜降り牛肉や脂とろとろの角煮を信奉しているのではないのでそこんとこよろしく。

どうもしっくりいかないのが、カロリーというのはただの"数値"であって効用や均衡、適正などをあらわすものではないということであります。
その算出方法がどうも分が悪くて脂質は重いハンディを背負わされているルール上の待遇差があるのです。しかも歴然に。

【1g当たりのエネルギー産生栄養素のカロリー】
栄養素   カロリー
脂質    9kcal
炭水化物  4kcal
たんぱく質 4kcal

どうです?この重みづけ!脂肪が他を抜きんでてカウント2倍チョイ。純然に熱量だけでいけば脂質のほうがカロリーが高いのだ!
…どうも何か"理系"の発想ですよね、これ。麻雀じゃないけれど、脂質は常にドラが載っている花牌扱いなのかこれ。
しかし理屈ばかりでなく根性や精神論も欠かせないのです。それが「筋肉」の存在。もう気分は「Sports&Wine」です。
筋肉はカロリー燃焼装置。そのためにはタンパク質が必要。
極端に糖質をカットすると筋肉が落ちる上に、稀に摂った糖質で血糖値急上昇。
なんてこともあります。何?ふむふむ…キンニク…サイボウマク…シシツ…ドラ2…ケットウチ?
これは数値だけでは測れない、立体的に広がったNすくみ構造の高度なメタゲームではないかっ!
人体はわからなすぎる…でもあれですね、やみくもに要素還元的にとにかく糖質を制限すればよい、というのはせっかちなロジカルを求める現代人の気風に合っていますが、
カロリーっていうのは運動による消費や代謝要因の影響力などトータルバランスで考えていこうという栄養学に基づいた穏健な思想みたいなので
私は「カロリーvs糖質」論争には[カロリーを軸に考える]ほうを採っていこうかと思います。(脂質の不遇さには不満もありますが…)


…というわけで前置きが長くなってしまいましたが今回は「文のカロリー」というものについて考えていこうと思います。

2記事前の連用承接のくだりに重要なことを述べています。
別口入力の助詞や機能辞は通常のべたのかなリテラルとは別の独自の文字コードを充てるという提案です。
そうすれば助詞の立った状態でまるごと格納=足[が]棒[に]なるを分解解析せずとも字のまま確定前文字列に流し込める…
いちいち単文字の助詞がくるたびに前後の接続や文のコロケーションから助詞であることをいちいち推定・解析する手間暇がかからない、ということであります。
これはとっかかりとしては良いアイデアなのですがすぐに問題も出てきます。たとえば
足が[久しぶりに]棒になる
みたいに字面の連続性をぶった切るように修飾語が挿入されるといった場合、見るべきスコープを失いあっけなく無用となってしまうのです。(スプリット挿入)
ではこれではどうでしょうか
足が[意に反して]棒になる
これなども慣用句の中にまた慣用的なクリシェが入れ子で入っている…ことには変わりがないのですが形態的な付加付随ではなくて語彙的なベクトル的ニュアンスに(否定)注目してください。

ちょっとモヤっとしていてうまく言い表せられないのですが私が念頭に置いているのは
文の情報量が多い(密)=固有の具陳素材が配置されているモザイクな文
文の情報量が少ない(疎)=導入や叙述がクリシェに割かれており流麗感の強い文
ということなのでありますが今回はこれをカロリーになぞらえてみようという趣向であります。

先ほどの[意に反して]の挿入でありますがこれが入ると文の意外性は途端に跳ね上がりクリシェとしてのお決まり感の評価を覆すものになりますし、それを決定づけているのはその語がもつ語彙的な属性であります。
たとえばスプリット挿入による分断という問題があったとしても適宜オミットするなどの形態的操作・再加工などの対策は百家争鳴、いろいろ処し方はあるかと思います。
けれども重要なのはクリシェの検知がたとえクリシェを掴みかけた半確定的スキャニングの只中にあっても、挿入内容物の語彙的なシグナルの如何によって容易に活性を左右されてしまうという事実です。
これは「この語なら肯定的だから補強材料」「この語なら否定的だから反転材料」のように語単位で一意的に決まるというものではなく
「マスクの着脱を[本人の意に反して]無理強いしてはいけません」
のようにネガティブ文脈においてはむしろ補強的にふるまう現象もありますのでもっと語彙的・相対的なアプローチが必要になってくると思います。
(例によって解決策は模索中なのではありますが…)

クリシェ検知において助詞機能辞を独自の文字コードで取り捌くアイデアもただ字面だけのマッチングに頼っているだけでは(スプリット挿入の解決案があったとしても)応用性に欠けます。
字面だけのクリシェは「目に入れても痛くない」には対応できますが「モノアイに入れても痛くない」みたいな発展はリテラルマッチングから外れてしまうので変換できません。
もう少し嚙み砕いていうと自然言語処理のトピックに「格フレーム処理」というのあるのですが、
「鳥が鳴く」「赤ん坊が泣く」を正しく使い分け変換するバックグラウンドには構造化された意味属性のツリーのようなものがあって「赤ん坊」の上位範疇には「人間」というのがあり「鳥」の上位範疇には「動物」というのが定義されており
それをトレース・推論することによって正しく鳴く/泣くを選択変換するという道理にかなったカラクリというものがあるのですが
これは非常によくできていて学ぶところも多いエッセンスとはいうものの、既知の組み合わせには力を発揮するがモノアイのような逸脱的な範疇のものまで的確にフレーム構造に取り込めるかというとなかなか難しいというのが実情です。
慣用句からしてこれなのではありますが、多義性を持つ動詞の典型的クリシェとしての用法と具陳・限定的用法とのせめぎあいで判断に窮するといった例もみられます。
たとえば
a.財政状況が許せば … よくある条件構文の導入でクリシェ連用修飾としてとらえられる
b.行政が許せば … 個別の処断の是非を問う接続句的構文であるが中核は主述関係の提示である

などの扱いも私が今まで取り組んできた連用承接の枠組みからするとa.b.両文とも等しく連用承接の受け皿でとらえたいところなのではありますが
やはりb.の文の個隗性は流れるクリシェというよりも条件項の確示がコントラストをなしており文のカロリーの観点からもa.に比べて情報量の多いフレーズだといえます。
…うーむ、どうやら[具陳/クリシェ]の評価法と[規定句検出/連用承接検出]の評価法が混線している、みたいでありますな。

ここで例に出した[許せば…]のケースを今一度掘り返してみるとこれは[取る・採る・撮る・録る・盗る・捕る・摂る・執る【とる】]みたいなものや[早い・速い【はやい】]の使い分けのような異字同訓の取り捌きのことを言っているのではありません。
ここでフォーカスしているのは
同一動詞内での具陳的待遇なのかクリシェ的待遇なのかの2つの解釈が存在する動詞の用法を
c.介護にあたって配慮すべきこと … 副詞的クリシェ(叙述を後に控える)
d.ヘルパーさんが介護にあたってくれている … ヘルパーさんの具体的行為から発するの連語動詞(介護に-あたる)(残叙述はニュアンスづけの機能辞程度)

のようにとらえられないか、しばし沈思黙考して考えてみると
[介護に-あたる]はひとまとめのクリシェだから情報量削減できているのではないか(動詞フレーズの連語縮約として)
いやしかし定型句[○○にあたって]も[お財布が許せば]みたいに変数付きのクリシェフレーズであるから(連用承接フレーズの縮約)ではないのか
ならば、どっちのc.d.の情報密度を重く見るのか?
カイゴニアタルのスコープ外の、くれている(付加ニュアンス)、とかヘルパーさんが(動作主の有無)、とかの付加文字列にカギがあるのか?
あるいは字面で拾われないメタ情報-Ø(adv)の標識の有無があるのか?
※同じ[介護にあたって]でもただの連語動詞Vの変化形ととらえるか副詞用法標識のついたØ(adv)が言外のパラメータをもたせているのでは?

などなど分析は尽きないのでありますが
ここまでの議論の結果として、
・字面だけのクリシェの検出→できそう
・目>>モノアイのような転換を含むクリシェの検出(慣用句)→難しい
・[お財布が,財政が,スケジュールが,状況が]許せばのような変数付き連語動詞の不定クリシェの検出
→少なくとも単イディオム(介護にあたる)の可能性や具陳項構図(俺が許せば)とは明確に区別したい
→具体的な対策はわからないが液晶のサジェスト提示の工夫の余地がありそうだ

などの観点が浮かび上がってきました。
タイトルで「連用承接」とうたっている割には[具陳/クリシェ]の軸からの分析が大勢を占めていて看板倒れ気味なのではありますが
見えそうで見えない、規定句と連用承接とカロリーの関係についてはもっと研究を進めていかなければならないと思っています。


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