1)WHAT MAMA SAID
2)PSYCO SAM
3)BRUSH WITH THE BLUES
4) BLAST FROM THE EAST
5)SPACE FOR THE PAPA
6)ANGEL (FOOTSTEPS)
7)THX 138
8) HIP-NOTICA
9) EVEN ODDS
10) DECLAN
11) ANOTHER PLACE
ジェフ・ベック通算15作目(ライブ盤、サントラ盤を除き、スタジオ盤では12作目)。
前作『ギター・ショップ』(1989)から、オリジナル・ソロ作品としては10年ぶりのアルバムでした。
ちょっと大げさですが、1990年代のジェフは、動きがあまりなかった。
オーストラリア映画のサントラ盤や、1993年にロカビリーバンドとの共演作『クレイジー・レッグス』の発表はあるも、ソロ新作はなかなか出ず。
1990年代後半になると、サンタナとのライブ敢行や、TOTOのスティーブ・ルカサーをゲストにレコーディングした(←結局はお蔵入り)といった情報があるものの、新作発表の話が聞こえてきませんでした。
私自身、彼を聴き始めた時には、『ギター・ショップ』が出て数年経っていたし、それからディスコグラフィーを追って聴いていたので、本作登場まで10年間待たされた訳ではありません。しかし、新作等のジェフの動きが無いことに、待ち遠しさを抱いていました。
そして、「待ってました~!」とばかり、1999年3月に本作がお目見えしました。
前作『ギター・ショップ』は、その時代の録音技術とベースのいないサウンドが相成って、ちょっと隙間のある音の仕上がりでしたが、こちらは音がギュッと締まっていて、熱く、ガツンッとくる仕上がりです。1)から10年のブランクを埋めるかのような気合いが伝わってきます。
さすがに時代に合わせてか、“ プクプク、ポコポコ… ”とデジタル音が鳴る1)と2)や、他にもデジタル処理を掛けたような曲もありますが、3)のようなブル-ズ・インスト、軽快な4)、ヤン・ハマー作のヘヴィな9)といったストレートなインストも収録。
私は、5)と6)がハイライトである気がします。
5)はジェフの縦横無尽、且つ荒々しいギターが聴ける、ヘヴィな曲。タイトルのように(?)、無重力の宇宙空間をグルグル回されながら、あっちへこっちへ飛ばされている感じを想起します(笑)。
そのまま続く6)は、宇宙空間の暗闇から明るい光が差し込み、タイトルにように天使達が舞って平穏を空間が訪れるかのような、美しいバラード曲。この2曲が大好きで、ライブでも続けてプレイされ、感動しました。
アルバム締めへ向けての10)は、美しくも少し幻想的なトーンを基調としたインスト。
ラスト11)ではギター1本の曲で幕を閉じる…という曲構成も、心をしっかり掴みます。
このアルバム、近年(?)の力作の1枚に挙がってもいいと思います。
この作品が弾みとなったのか、2000年に『YOU HAD IT COMING』、2003年『JEFF』とアルバムを発表します。後年、本作と合わせ、これらを“ デジタル3部作 ”と呼ばれるようにもなります。
このアルバムが出ると、同年5、6月に来日公演を実現。
当初、私は都合の合う日がなかったのですが、東京での追加公演が入り、行くことができました。
初めて、且つ念願だったのジェフ・ベックのライブ。ライブの1曲目が上記の1)で、ステージの袖からギターを弾きながら登場したジェフにエキサイトし、感動しました。
とてもパワフルなライブで、初めてだったこともあり、思い出に残るライブでした。
[CD日記 '90洋楽編 # 30]