Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

レベル6

2011-03-25 | 生活、環境

 福島第一原発から放出された放射能量は、ついにレベル6という数字が発表された。
 国際原子力事象評価尺度(INES)レベル6は、最悪の原発事故チェルノブイリの
 レベル7に次ぐ数字。あのスリーマイル島事故のレベル5を上回る史上2番目の原発事故となった。

 連日、TVで広報される「人体に影響ない」「いまただちに…」「食べても問題ない」
 発言が事態を沈静化させるための空疎な響きを、日増しに帯びて聴こえてくる。
 
 昨夜3人が被爆した福島第一原発3号機が不気味だ。
 3号機は伊方同様、2010年からプルーサーマル運転を開始している。
 もし被爆した3人がプルトニウム汚染していれば…?

 上にリンクしたウィキペディアの他にも「放射能汚染プルトニウム」で検索してみた。

 
 東北地方太平洋沖地震発生後、福島第一原発事故の報道を知り、
 「これから、もっと恐ろしいことが起きるかも知れない?」
 と私自身ブログのコメント欄に書き込み危惧していた。
 それが本当に現実味を帯び始めてきた…

 地震やそれに伴う津波は、不幸なことだが防ぎようもない天災だったかもしれない。
 しかし、原発事故による放射能汚染は、明らかに防ぐことが出来た人災だ。

 1986年のチェルノブイリ原発事故発生以降、私たちは幾度も政府原子力機関、
 各電力会社に問いかけてきた。
 「地震列島である日本において原発はリスクが高過ぎるのではないか?」
 そして彼らからの回答は、
 「日本の原発は安全制御システムが幾重にも施されている。スリーマイル島や
 チェルノブイリのような炉心溶融(メルトダウン)など絶対ありえない」でした。

 しかし2011.3.11.それが現実に起きてしまった。
 スリーマイル島やチェルノブイリの原子炉が炉心溶融したのは1機だったのに対して
 福島第一原発は3機も水素爆発を起こし炉心溶融してしまった。
 そしてチェルノブイリの放射能放出が事故から10日ほどでおさまったのに、
 まだ福島第一原発からは放射能が出続けている…

 事故発生後、またしても彼らは「想定外だった」を繰り返し、
 「M9は千年に一度の大地震」防ぎようもない天災だと主張する。

 はたして、そうでしょうか?
 2004.12.26.インド洋沿岸スマトラ沖地震はM9.1で今回を上回る規模。
 それ以降も2008.四川地震M7.9。 2010.ハイチ地震M7.0、同年チリ地震M8.8
 と巨大地震は頻発している。
 国内でも阪神大震災は95年。わずか16年前だ。

 97年に原子炉の耐震指針見直しの原案が提出されていたにも関わらず
 産業界からの圧力のため2006年の耐震指針全面改訂まで見送られたという経緯が
 昨日の朝日新聞に掲載されていた。
 経済を優先する余りに対応が遅れ、起こるべくして起こった事故だったと思えてならない。

 さて未曾有のカタストロフィー東北地方太平洋沖地震、その後のため、
 私たちは希望を持って再生に向かわなければならない。
 しかし希望を抱く前に、私たちはあまりにも大きなリスクを抱えている。

 四国電力は、伊方の「プルサーマル実用炉は止めません」と早々に宣言した。
 何の検証も安全対策が立案される前に。
 まず結論有りきです。

 MOX燃料(プルトニウム使用)によって可動するプルサーマルは、
 どう考えても危険過ぎます。(上段のプルトニウム汚染のリンク先をどうぞ)
 近い将来必ず起きる可能性が高いといわれる東南海、南海地震のことを
 考えると、活断層の上に建てられたといわれている伊方発電所の存在は
 あまりにもリスクが高過ぎる。
 プルトニウムによる放射能汚染が現実に起きれば、四国は文字通り「死の島」です。
 例えが怖いが、ロシアンルーレットの銃口を頭に当てて暮らしているようなもの(怖)

 2011.3.11.私たちは圧倒的な自然災害の猛威を目撃した。
 不老不死さえ現実味を帯び始めた科学は神の領域まで迫ろうとしていた。
 しかしあの日、私たちは為す術もなく蹂躙されるままに、
 森を出た「裸のサル」同然の存在まで引き戻されていた…
 営々と築き上げてきた文明など一瞬で灰塵と帰してしまう。

 私たちは、もっと謙虚であるべきだ。
 震災後の「人を想う気持ち、慈しみ、広がる善意」が本当に嬉しかった。
 この機会に変わらなければ、世界を変えることなど、決して出来ないだろう…
 いい加減に、経済至上主義の社会から舵取りしよう。
 選択肢は、決してひとつではないはずだ…

 エネルギー政策の転換、地球温暖化防止、生物多様性…
 すべてが不可分に繋がっている。


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5 コメント

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震災から2週間 (ランスケ)
2011-03-26 00:07:23
今朝の朝日新聞の一面トップ記事を見て一気に書き上げました。
これまで震災被災者のことを考えると、あまり不謹慎な
言動は出来ないと原発関連の記事は控えていました。

「事実だけを拾い、憶測で書いてはいけない」
と言われ続けていますが、レベル6という数字と
連日政府関係機関(御用学者)から発表される
「問題ない」発言とは、あまりに乖離し過ぎているように思えます。
アメリカのメディアは「日本人は事実を知らされなくて可哀想だ」
と報じられていると聞きます。
いざ有事になると報道規制をするのは大本営発表を待つまでもなく、
日本が参戦したイラク戦争においてもマスコミとの間で
報道規制(密約)があったことは周知の事実です。

今回の記事を書くにあたって、震災発生後からの新聞記事を
丹念に拾っていくとTVが決して報じようとしない
「福島第一原発3号機が2010年からプルサーマル運転開始」
の記述に出会いました。
それなのにTV報道からはプルトニウムに対する言及は一切聞かれません。

ブログ記事を書き上げて、6時のニュースから
ずっとNHKの報道を見続けていました。
菅総理の会見を始め、勘ぐれば、なるほどと合点がゆきそうなことばかり…
事実が隠蔽されているのなら、ある程度想像を働かせざるを得ません。
ちょっと過激な記述もあったことは認めます。

昨日ブックマークした「こもれびさん」のブログにおける
勇気ある記事の掲載には頭が下がります。
私も触発されて、今回の記事を書きました。
この大変な時期に何も発言しないサイトは信用しません。
だんまりを決め込むのは、あまりに無責任。

NHK報道の後半、震災で家族を失くし、今も探し続ける人々の物語が
あまりにも切なくて胸に込み上げてくるものを抑えることが出来ません…
想定外 (misa)
2011-03-26 00:33:31
少し風邪気味です
明日主人が早朝出張の為寝ようと思いましたが
やはり気になる・・・・
今年の流行語大賞候補No1?と
暫く事務所で連発した「想定外」

冗談じゃない!原発は人災です!
四年前に津波被害による危険性を東京電力に指摘したある議員がいました
なのに、政府、東京電力の対応のまずさ、情報の囲い込みが事態を深刻にしています
再利用を考え、海水投入をためらった責任はまさに人災です

着の身着のままの被災者を受け入れて困っていると情報が入り、衣類や毛布を千葉へ郵送
今になって高知の窪川原発を阻止した事が誉められていますが、あの時私たちがどんな思いで訴えていたか、何か起こってからでは遅いのに
愚かなのは紛れもなく人間です

実は、ある選挙事務所での事務職についてます
統一地方選挙どころではないと延期を訴えたのは我が党のみ

自然破壊を繰り返した人類への罰にしては
余りにも過酷です
ランスケさん、これが言われていたもっと恐ろしい事なのですね
原発批判はタブー? (ランスケ)
2011-03-26 06:59:28
misaさん、勇気あるコメントありがとうございます。
原発批判、特に四国電力批判は保守王国愛媛ではダブーです(笑)
だからプルサーマル実用炉なんて最も危険な原子炉を
佐賀県と共に日本で最初に押しつけられたのです。
窪川における原発反対は、さすが高知です。
愛媛は御上には真正面から逆らえません(哀)

こもれびさんのスクープした福島第一原発の廃炉問題、
ネットでも検索しました。
本当に菅直人には心底失望しました。
市民運動家出身である菅直人に、本当はやってくれるだろう…
と未だ見捨て切れない想いが残っていました。
でも、今ではすっかり官僚や産業界の言いなりです。
市川房枝さんが泣いていますよ(哀)

勇気あるコメントはmisaさん一人ですが、アクセス数は500を超えています。
民主主義 (鬼城)
2011-03-26 18:56:16
民主主義の大原則は発言の自由だと思います。非社会的な要素は許されるものではありませんが・・・原発の怖さは誰もが知っていると思います。しかし安全神話で納得させられ、今日に至っています。流行語に選ばれそうな「想定外」の定義とは何でしょう?

東電も政府も頼りになりません。責任の跳ねかけ合いです。今日、松山の友人に久しぶりに会いました。松山在住の中国の方に中国にいる家族から「日本は小さな国で原子力発電所が壊れたので国全体が被爆する恐れがあるから、すぐ帰れ。」と・・・松山からも帰国する方が多いと聞きました。

ランスケさん、訪問の折、プルサーマルの危険性についてはお聞きしました。押しつけられた感は否めません。さて、我々に今何ができるか?課題ですね。
政府広報の嘘 (ランスケ)
2011-03-26 20:11:30
公務員である鬼城さんから、今回の記事に対してコメントが届くとは思っていませんでした。
勇気ある発言に感謝します。

先刻まで、あの日本を代表するジャーナリスト、
DAYS JAPANの広河隆一と広瀬隆の23日付けの
動画配信を観ていました。

アメリカのメディアが、どんな報道をしているのか
具体像が見えて来ました。
はっきり言って、政府と原子力関連の学者たちは
発表する数字を捏造しています。
在日アメリカ人に帰国勧告をするのは当然かもしれません。

本当に幼い子供たちが危ない。
内部被曝から癌が発症するのは5年から10年先。
「いまただちに…」発言は、そういうカラクリです。

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