Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

灯火茸(ともしびたけ)の森

2016-06-12 | 

 

私は、やっぱり鳥目なのだと思う。

暗闇の中で、瞳孔の焦点が上手く結ばない。

雨季の森に命を育む椎灯火茸(シイノトモシビタケ)の森へ誘われた。

二度目の光る茸の森への探訪だ。

前回の光る森の記事は以下に。

http://blog.goo.ne.jp/toshiaki1982/e/f83f4855dd798fc772211a63066f8927

 

鬱蒼とした照葉樹の森が落とす木下闇(このしたやみ)に幽かな光を放つ灯火茸。

そのあえかな光に私の瞳は、レンズの焦点を合わせることが出来ない。

今回も失敗写真の山を築いただけなので、

ブログへの掲載を諦めていた。

それでも再び失敗写真の掲載を思い立ったのは、なぜだろう?

雨上がりの森が放つ瑞々しい植物の生気。

落葉の堆積した腐葉土の森の奥まで分け入った。

信仰の山として手付かずの深い森を残した横倉山は、昼なお薄暗い。

テレビ放映で有名になったシイノトモシビタケの自生地を避けて、

森の奥へと足を踏み入れていた。

人知れず原生の森奥深く幽玄の光を灯す聖域を見い出したくて。

黄昏の色を残していた空は、どんどん輪郭を失くして木下闇の暗がりに取り込まれてゆく。

目を凝らして神域の森の奥へ奥へと足を踏み入れる。

朽ちかけた倒木に、びっしり菌糸の傘を広げた白い茸の群生を見つけた時は驚喜した。

日本に生育する発光茸は10種ほどあると云われる。

この白い茸は、アミノヒカリタケに似ている。

その上にはシイノトモシビタケに似た茸も。

それが倒木一面に生えているのだ。

もしこれが発光茸なら、とんでもない光景が出来(しゅったい)する。

鬱蒼とした森を灯す幽玄の光の聖域。

想像力の翼は高みへと、めいっぱい羽ばたいていた(笑)

周囲の闇が、どんどん濃くなって…結果は?

まったく発光しない(汗)

写真家、高橋宣之さんは、照葉樹の森を探せば平地でも灯火茸が発生する可能性があると仰っていた。

私も、そう思う。

昨日は近郊の鎮守の杜を探してみた。

残念、見つからなかった(やぶ蚊の洗礼はたっぷり)

諦めずに鎮守の杜の奥深く幽かな光を放つ夜の森の聖域を見い出してみたい。

 


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7 コメント

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前回の驚き (鬼城)
2016-06-12 17:29:41
灯火茸というキノコ、ランスケさんのブログで初めて見ました。
驚きと幽玄さと・・・
文章を合わせて読むと、梨木香歩の世界です。目は疲れでしょうか?
高齢(仲間入りをしています)になると体力とか、思考が落ちてきます。
自覚していますが、それより最近、ぼやけて見えるようになりました。
診断は白内障だそうです。
パソコン、スマホ、読書も不便になりつつあります。
仕事も一区切り・・・手術をしようかと思っています。
ついつい、自分のことを書きました。m(_ _)m
夜の森の気配 (ランスケ)
2016-06-12 18:59:43
雨の日曜日ですね。
今年は梅雨らしい天候が期待出来そうです。

こんな日は、つい没にしていた筈の失敗写真まで愛おしく思えてきます(笑)
本来はゴミ箱行きだった情けない写真を復活させてしまいました。
御容赦を(汗)

ここ数年、夜になると視野が怪しくなって来ました。
鬼城さんの御指摘通り、老化現象なのでしょうね。
だから暗くなると自転車で出歩かないように心掛けています。
何度か暗闇で散歩中の人や物にぶつかりそうになりました。
蛍や星の撮影の時は、ピントを無限大に合わせておけば大丈夫なので問題ありませんが、
この発光茸の撮影はダメですね。
一人で心ゆくまで撮影出来る秘密の花園を探してみます。

幽かな光を灯す発光生物の撮影が続いています。
ルシフェリンという発光物質が原因らしいです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%B3

視野が衰えている割に、漆黒の闇が覆う夜の森歩きが好きです。
Night cruising の物の怪たちの気配にわくわくします(笑)
お疲れ様です!! (masa)
2016-06-12 19:09:13
ランスケさんも闇夜の撮影に苦労されてたのですね
!私の場合は動く標的でしたが こちらはストロボ
使っても良かったのですが なしで挑んでたので散々
でした。目のピント調節にいいとうたってるタブレ
ットもありますが 飲んでみたことがないのでどう
でしょうかーーー今日休みなのですが 雨なので映画ばかり見てました(インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアとブリッジ・オブ・スパイ)視力の低下はこれも
影響があるんでしょうねーーー
さらに森の奥へ (ランスケ)
2016-06-12 19:29:19
masaさん、残念でしたね。
当初の予定は雨上がりの笹倉湿原でした。
霧を裂いての光芒を期待していました(笑)

試しにひろぞうさんにメールをすると、
横倉山へのお誘い。
どうも私は人が集まる有名撮影地が苦手です。
テレビ放映で、ここも前回、凄い人出でしたから。
ならば、森の奥へ分け入って別の場所を探そうという提案をしました。

結果、残念でした。
でも、やっぱり牧野富太郎博士の愛したこの森は独特の雰囲気があります。
masaさんも今度は御一緒に如何?
ただし登山路を外れて森の奥深く分け入りますから覚悟していおいてね。
ようこそ (misa)
2016-06-12 23:45:18
日程が合いましたらご一緒出来ましたのに

あれから三年も経ったのですね
7/3この日はとてもラッキーでした
高橋さんに「はよう三脚置いてきなさい」と駐車場で言われて駆け上がりました。時間は夕がたの三時頃だったと記憶します
女の特権ですね。後から来た人からは何も言われずむしろ和気あいあいと数時間蚊と闘いながら過ごしました
三脚が短くてリモートコードも忘れて最悪だったのですが素敵な瞬間がきりとれたと大満足でした

そうですね、来月北海道へ行くので外出は控えていたのですが今年は近くなので行ってみましょうか
月末がピークと聞いていますが実は私もここ数年ピントが合わなくて苦労しています
病気で指の震えがあるので三脚必須なのですがついつい面倒で手持ち撮影です
特に夜間の運転がきつくなっています
奥深い神秘の森 (ランスケ)
2016-06-13 08:33:38
misaさん、おはようございます。

そうですか。前回行ったのは3年前でしたか。
前回は狭い場所に溢れる人混みに尻ごみしてしまいました。
あの時の記憶があったので、今回は森の奥へ分け入って別の自生地を探しました。

横倉山の森は奥が深いので、もっと早い時間に到着して、じっくり探さないと無理ですね。
今回で横倉山は、3度目の来訪となります。
(牧野富太郎博士のフィールドとして植物探索に10年くらい前にも)
鬱蒼とした照葉樹の森は、豊饒な生命の温床を感じさせてくれます。
やっぱ、近所の鎮守の森とはスケールが違う(笑)

まだ灯火茸は出始めなので、もう一度行けるようなら事前に連絡します。
久しぶりに森の撮影を楽しみましょう。
理不尽な進化論 (ランスケ)
2016-06-13 14:54:38
ちょうどいいタイミングでSYNODOSが進化論の記事を掲載しています。

http://synodos.jp/science/17264

未だに弱肉強食だとか自然淘汰だとか適者生存という概念が進化論のキーワードとして流通しています。
たぶん、そういう括りが納まりがいいと考える人が多いのでしょうね。
自然界の営みを長い間、観察していると、そんな括りに納まらないことが分かってくるのですが?

ちょっと読んでみてください。
固い頭が柔らかくなるかも?

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