Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

幽(かそ)けき森

2013-05-31 | 

 

どうしたものか雨の季節は、心が騒ぐ。

低く棚引く雨雲も、篠つく雨に滲む風景も、どこまでも距離感を喪失させる深い霧の森も、

大気に漂う水の粒子が、くっきり形をなしていた世界を淡々と変容させる幽(かそ)けき風情…

そして雨の森は、緑が葉先から滲みだしたような、あえかな光に包まれる。

それは午後遅い、光が消え入りそうな時間でした…

 

 


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4 コメント

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感じたままに (misa)
2013-05-31 18:55:11
乳白色の息をのむような情景ですね
写真は光さえあれば撮れる・・・・・
先日NHKで桐野伴秋の世界が放映されました
13年度のcannoncalendarに抜擢された方で彼の世界は独特です
まだそれほど知られていないころ審査員をされた写コンで賞をいただき竹林寺での個展にお邪魔して以来のファンです
cameraをぶら下げて浜辺を走る
レンズを外して光を屈折させる
僅かなブレを使う
光と戯れるようにfinderを覗く彼の眼はまるで少年のよう・・・・・・
ランスケさん、あなたにも同じ匂い感じますよ
手痛い思いもしましたが霧は魔法のcurtain

今日から復帰してます
幽けき世界 (ランスケ)
2013-05-31 21:43:40
misaさん、手の骨折の具合は如何ですか?

人は身体の不具合に直面すると、初めて脳が意識することと身体機能のアンバランスを実感します。
私自身、この3ヶ月間で身体が発するシグナルに素直に耳を傾けることが健全な心と身体の均衡だと気づきました。

桐野伴秋さん、初めて知りました。

http://www.kirinotomoaki.com/

確かに、数年前の私なら志向した世界です。
この人も高知出身の写真家なのですね。

私が現在、志向する世界は、同じ高知の高橋宣之さんのように、
儚い命や幽けき風情が表徴する境界の風景です。。
今回の写真では4番目の画像が最も撮りたかった世界です。

あっと目を引くような派手さはないけれど、こういう自然が放つあえかな光の世界に強く惹かれます。
陰影に欠けるフラットな光線状態だけに、余計に厄介な写真的表現です。

なんとか、この世界を表現したい…

小津安二郎の「東京物語」何回目でしょうか?
こんなに東京から帰ってきてからの尾道のシーンが長いとは思わなかった。
私自身は東京で父母を迎えた日々の悔恨が何時も反復していましたが、
この映画が傑出しているのは尾道に帰ってきてからの数日にあるのだと気づきました。
近頃、小津の「秋日和」や「晩春」も合わせて観ています。
どうして? (鬼城)
2013-06-02 09:51:15
こんな幽玄美を表現する写真がどうして撮ることができるのか不思議です。まるで日本画みたいです。終わりの2枚は接写ですね。それにしても水玉の細かさの表現、圧巻です。絵画的なセンスの問題だとは思いますが、表現力はすごさを感じます。
山水の風景 (ランスケ)
2013-06-02 13:41:13
鬼城さん、ありがとうございます。
鬼城さんの足摺岬の先端から始めるお遍路の旅、こちらも楽しみですね。

仰る通り、日本画のモチーフを強く意識しています。
長谷川等伯の「松林図屏風」や手塚雄二の「夕霧」や「きらめきの森」、「山音」が、
頭の中にチラチラしているのは間違いありません(笑)

特に手塚雄二の大きな風景の素材と同時に小さな儚い命や、
幽かなものたちに寄せる眼差しが、たまらなく好きです。

それは小津安二郎の映画における家族の風景にも感じます。
あの労りに満ちた眼差しや言葉遣いは、きっと世界共通なのです。
だから小津映画は世界中で愛される。
昨年のイギリスで行われた映画オールタイムベストの第一位は、
あの「2001年宇宙の旅」や「市民ケーン」を抑えて、小津の「東京物語」が選ばれました。
あっ、また話が脱線しました(笑)

さて、今度は山の夜を撮りに行きたい…

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