11月16日~17日にかけて、交通事故研究会の宿泊研修が湯河原で
開催されました。
今回は、交通事故の共同不法行為に関する諸問題を中心に熱心な議論
が行われました。
出席者は女性4名を含め30人ほどでした。
私は、短時間でしたが画期的な判決だと考え、2日がかりで広島高等裁判所に出向いて筆写してきた判決:平成27年9月2日言い渡し(平成27年(ネ)第199号)の要点のみ、報告しました。(なお、既にブログで紹介している部分もあります。)
行政書士の契約の意思代理(行政書士法第1条の3、第2号)について
・行政書士は、業務として契約代理を行うことができ、以下の行為を行うことができる
➣契約書に代理人として署名すること
➣契約文書の修正等を行うこと
なお、契約文書の修正については、弁護士法72条の規定に抵触しない範囲で、これを行うことが許容される
行政書士が行う書類作成に関する相談業務(行政書士法第1条の3、第3号)
について
書類作成に関する相談業務(同条3号)については、以下の通り、その具体的内容が判決文の中で示されました。
・具体的には依頼者の依頼の趣旨に沿って、いかなる書類を作成し書類にいかなる事項を記入するかについて質問に対し答弁し、指示し又は意見を表明するなどの行為を指す. 行政書士は、書類作成に関する相談業務について、次の行為を行うことが可能であることが読み取れます。
・如何なる書類を作成すべきか、行政書士の側から顧客に対して指示することが できる
・如何なる書類を作成すべきか、顧客から質問があった際、行政書士として回答 することができる
・如何なる書類を作成すべきか、行政書士の側から顧客に対して意見を表明することができる
・書類作成の際、如何なる事項を記入すべきか、行政書士の側から顧客にし て指示することができる.
・書類作成の際、顧客から質問があった際、行政書士として回答することができる
・書類作為の際、行政書士の側から顧客に対して意見を表明することができる
弁護士法、第72条に関する内容(非弁業務となるか否か)
弁護士法第72条は以下のような規定です。。
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(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
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ここで挙げられている行為は、次の通りとなります。
① 訴訟事件
② 非訴事件
③ 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件
④ その他一般の法律事件
以上の①~④に関して、
イ 鑑定 ロ 代理 ハ 仲裁 ニ 和解 ホ その他の法律事務を取り扱うこと、またはこれらの周旋をすること、 となっています。
つまり、今回の判決にある通り、イ~ホについて、①~④の事件に関する行為を行うことが非弁行為に当たるものであることが分かります。
特に、④については「その他一般の法律事件」と規定されており、その範囲が不明瞭なわけですが、今回の判決では、その点に言及して、以下の通り、述べています。(←この部分が、凄く画期的な内容だと思います!)
「「その他一般の法律事件」とは、同条において列挙された事件と同視しうる程度に法律上の権利・義務のに関し争いや疑義があり、又は、新たな権利義務関係の発生する案件をいうと解するのが相当である。」と判示しています。
つまり、広島高裁は、「その他一般の法律事件」とは、訴訟事件や非訴事件、行政庁に対する不服申立事件と同視し得る程度の成熟した案件を指す、と判示しているのです。
とすると、 弁護士の業務とは、そもそも事件性のある法律事件か、または、それに相当する程度に権利義務の発生する法律案件である、と「限定」したものである、と言うことができます。
弁護士の業務を限定した結果として、会社法務実務や公官庁内での法律相談、行政書士などの業務範囲が拡大することになろう、と思います。
この日は、他の参加者が温泉でくつろいでいる中、私は、仕事の関係で日帰りとなりましたが、学ぶことの多い研究会でした。