暗闇の中をヘッドランプの
明かりを頼りにトボトボ歩く。
駐車場にはたくさん車が
あったが周りには
誰もいない。
道を間違えたかと
心細く思ったが
1,2人の男性が登ってきて
追い越して行った。
そうこうするうちに後ろを
振り返るとまるで蛍が
集まって来るごとく
人々が登って
きているのが見えた。
暗闇はこの星と宇宙との
隔たりを曖昧にしている。
見下ろす夜景の光が
銀河を創る。
ようよう空も少し白けて
さっきまで光っていた星達が
山道に砕け散って霜となったようにキラキラと輝く。
なんて幻想的なんだろう。
息を切らし坂を登ると
既に頂きに多くの人が
御来光を待っていた。
やがて、空と海と山が
分けられ
太陽の影が海上に浮かぶ。
ハッとするほど
大きく深い紅。
けれどそれは一瞬で
本物の太陽にかき消された。
美しく神々しい光が空と海を
射抜き満ちた。
なずな