USAの伝承歌「朝日のあたる家」を
浅川マキさんが女性バージョンに超訳した
この曲を聞いていると
とっくに忘れていた事を思い出した。
あれは、18才の夏だった。
仲の良い友達が東京に進学した年
夏休みを利用して東京に遊びに来いと
誘ってくれた。
一週間ばかり友人の古いアパートに
泊めて貰って東京見物をした。
まあ、なんてことでしょう。
田舎者には目新しいものばかりで
刺激的な街だった。特に丁度ディスコ等と
いうものが全盛期の頃で、
若い女性なら低料金でソフトドリンク飲み放題で
入店出来るというものを見つけ出し
夜な夜な遊んでいた。
それでも終電時間に間に合うようにだが、、。
お金さえあれば、東京に住たいなあ。
だって、いろんなチャンスが
転がっていそうだもん。
そんな事を考えながら友人と終電に乗るため、
駅に向かっていると電灯の下で
二人の白人女性が立っているのがみえた。
大昔のことでもあることから
私ははじめて外国人の実物を
見たのかもしれない。
背が高く、すらりとした脚。
肌も白く露出の高い服を着ていた。
けれど目を引いたのは、頭髪。
金髪というよりは黄色の髪、
美輪明宏さんの髪の色と
同じような感じ。違和感を感じた。
日本人の描く金髪をわざと具現化しようと
染めたような感じ。
物珍しさも手伝ってつい、
じぃとみつめてしまった。
不意に、その一人の外国女性が
物凄い形相で私に掴みかかって
来そうになった。
私より数段背が高く本気で攻撃
されたら、殺されそうな雰囲気。
慌てて身を翻し走って逃れた。
後で友人に怒られた。
「あの人たち何者」と私。
「バカ。身を売っているんでしょう
。そんな人を呑気に眺めるなんて。
あんたが悪い。」という友人。
そうか、そうなんだ。どういう
事情があるのか知らないが
見知らぬ国に来てそのような
事をしている人がいるのだ。
チャラチャラと遊んでいた
私は知らず知らずその人を
傷つけたのだろう。
悪いことをした。
自分の無知と無神経さが
腹立たしい。
大都会にはチャンスも
転がっているかも知れない。
でも、躓きの石も転がって
いるかも知れないのだ。
そんな事を考えながら
田舎に帰っていったあの日の
私を思い出す。