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岸本晃の住民プロデューサーNEWS

懐の深い「テレビ」、生活感覚が上手に使う

福岡県の東峰村の昼は暑かったが、夕方からはさすがに山間部だ、すっかり冷え込んだ。夏に始めた住民ディレクター講座も前回の全国過疎問題シンポジウムのテレビ的展開を経て、今年の最終講座に入った。今回は番組制作のプロセスだけでなく全国シンポジウムというイベントも同時進行する実戦講座になった。いつものことだが、この半年間をかけてわずか3分の番組を実際に作った人達の7,8人と、見ていた人たちの落差が大きい。3分番組1本をつくるプロセスを経験することで一気に企画力がつくという住民ディレクター活動の懐の深さは経験しないとなかなかピンとこない。なぜ懐が深いのか、というとテレビを解剖するとわかるのだがこれもまた体験してわかる部分が多いのでわかりにくい。

では、なぜそんなにわかりにくいのか?馴染みがないからだ。テレビ局は国の免許事業で、特別な業種だ。しかもテレビ局に入って仕事ができる人はほんの一握りの人だった。これだけインターネットが普及しても今なおテレビが強い(そう、弱まったとはいえまだ強い)のは免許事業だからだ。まあそれはそれとして、そのテレビ局がもっているノウハウというのは実に豊富なものがある。ニュースを発信する。番組を制作する。CMを作ってモノを売る。局アナやタレントでイベントをする。番組グッズを作る。番組にはワイドショーあり、歌番組、お笑い、ドキュメンタリー、ドラマなどなど、また中継放送では野球、プロレス、ボクシング、福祉問題。その他に教育講座、テレビショッピングなどこの54年間に作り出したり、実験してきたものはきっと幾千万もある。しかし、その幾千万のソフト、ノウハウはテレビ局の人にしかわからない独占のノウハウだった。

このノウハウが地域にあったら・・・、きっと地域振興に相当役立つに違いない。ここからスタートしたのが住民ディレクターだ。14年間テレビ局の中にいてテレビのこのノウハウのほとんどを身につけてしまったラッキーな人間がいた。そう私だ。
 住民ディレクターは今書いたすべてのノウハウを普通の住民に開放して地域の生活に生かしてもらおうという手法だ。ビデオを作るということだけない。今書いたようなあらゆる分野のことを番組にして発信するノウハウを身につけて、毎日の生活を豊かにする。またその力を田んぼや山や商店街の振興に生かそうという発想だ。しかもテレビは面白い。見てるだけでも面白かったが、作ることはもっと面白い。見た人から反応があることは張り合いがでる。またテレビはどこの家庭にもある。54年間、生活に欠かせないものとして我々のすぐそばにあり続けた。そのテレビはついこの前まで、いや、もしかしたら今もなお「見るもん」だと思い込んできた。使えるなんて考えもしない。テレビが人をつなぐなんて想像できない。ここにはインターネットが大きく貢献している。だからITではある。しかし、インターネットで世界に見られるというのは幻想だということはもう皆わかってきている。ただし、世界に見られる使い方はある。そこをやるためにまずは(1)ボタンを押し(2)身体(がカメラ)を動かし(3)オマケの番組を作る。このプロセスにぎっしりとノウハウが詰まっている。

新聞、ラジオ、映画がもっていた要素をコンパクトにしてできたものがテレビだ。贅沢なメディアである。さらに放送、通信がインフラ上では一体となる方向に行っている。地上波デジタルがその一歩だろう。しかし、次に来るものが見えてないと思う。住民ディレクター活動は各地ですでに「テレビは使うもん、つなぐもん」の次を作りつつある。しかし、その一歩は住民のみなさんのペースで動き出さないとテレビ局でもないし、制作プロダクションでもないので、ゆっくりペースだ。現場を知らぬ行政は「結果を出せ、成果を見せろ」と囃し立てるが、何を意味しているのかよくわからない。そんなに追い立てるなら自分たちがやってきた事業の成果を見せて欲しい。その成果を応用して成果が早く出るように支援してあげればいいのではないだろうか?半年に数百万かけた事業で「成果が出た」ものがあれば、その成果を早く現場に生かして欲しい。
 
どこの地域に行ってもこの構図ばかりだ、しかも繰り返している。財政が厳しくなっているからこそ、行政はもっと本質的な面に目を向けて欲しい。具体的にやれるところをしっかり支援して欲しい。住民の各方面の声を聞くことは勿論大事だが、私欲を捨て地域全体のことをしっかり見つめ、具体策を持っている住民(行政も含む)の声をしっかりと聞き、受け入れ、自己満足の支援ではなく実のある、次に続く支援をする責任があると思う。税金を有効に使うことが地域に、ひいては国に貢献することになるはずだから。今日も住民ディレクターの今後の活動を考える企画会議をしたが「地域活性化をするために我々は○○をやっている」ということを声高に叫ぶのではなく、面白いこと、楽しいこと、みんなの役立つことを好きでやっている結果、地域の活性化になっていたんだね。・・という感じをもっている人が多かった。こういう感じがわかるかどうかというのが、生活感覚だと思う。

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