「横濱エトランゼ」
著者:大崎梢
著者のイメージはなんとなく「書店ネタ」だったが、本シリーズも「タウンガイドの編集部」が舞台なのでそう遠くはないか。
「元町ロンリネス」
小さい謎を最後に残す…フンワリした「…それでいいんじゃない?」と思わせるような残響…。タイトルともどもこの一冊を象徴するような短編。
読者に結末の一部を委ねるパターンだが、不意に涙腺に来るハートフルな作品。
「山手ラビリンス」
一番ミステリー寄り(謎解きの爽快感はお見事)で、かつ伏線の張り方もエレガント。センチメンタルな「迷宮」。
「根岸メモリーズ」
…交錯するヒロインの「メモリー」と依頼人(?)の「メモリー」。著者は似たような感情の揺らぎを複数のキャラクターに重ねるのが実に上手い。
「関内キング」
…「関内」と言えば「ラジアントホール」←恒例超絶ニッチネタ。
王道…とは少し違う、クリスティっぽいミステリー風。謎が解かれて行くに従って謎の人物が実体化してくるような奇妙な感覚に囚われる。
「馬車道セレナーデ」
…登場人物それぞれの旅立ちが描かれる。意外にもちょっと外した着地点に降りるが、コレはコレであり。
しかし…て事は続きは無いのか。
横浜の一風変わったタウンガイドとしてはかなり面白いのでもう少し掘り返して欲しい気もするが。
「満足度:◎」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ