「儚い羊たちの祝宴」
著者:米澤穂信
(ネタバレ防止フィルター稼働中)
読書サークル「バベルの会」を接点とする、5つのミステリアスかつサイコな物語。
それぞれ最後の最後に「嫌ぁな衝撃」を仕掛けた短編集。
「身内に不幸がありまして」
似た発想のショートショートをどこかで読んだ記憶が蘇った。
某レビューで「そんな理由で○○するのか」というような意見があったが…現実に実際もっとヘンテコな理由で人が○○してるのでそこは大した問題ではない。
最後の行への収束を周到に仕込んだ一編。
「北の館の罪人」
いきなり「北の館」の管理と住人の世話を命じられれた少女。だが実際は…。
奇妙な買い物と、その買い物が生み出すさらに奇妙な△△の真相が明かされるのは最終盤である。
…いや、それが本当に真相なのか?
「山荘秘聞」
「ジョジョの奇妙な冒険」の第四部「杜王町編」を連想した(読めば分かる)。
深い深い雪山の山荘…管理人は□□を待ちわびていた。
そして…口封じの為に…。
「玉野五十鈴の誉れ」
ラストのインパクトはまさに「意味が分かると怖い話」。
有能この上ない世話係がコッソリと▼▼した事とは…?
「儚い羊たちの晩餐」
ある単語が出た瞬間に結末が想像できるが、物語はそれを遥かに上回る結末をブチ込んで来る。
意味有り気な指示を忠実にこなす料理人が●●に◇◇したモノとは…。
全編に渡って独特の空気が漂い、その空気にマッチした「浮世離れした設定」が奇妙なタッチのストーリーを際立たせる。
五編全てに「ある存在」が共通しているのがまた作中の「世界観」を補完している。
昭和のオドロオドロしい「探偵小説」を彷彿させる。
…色々と知っていた方がもっと「面白く」読める「禍々しい」短編集。
「小市民シリーズ」みたいな日常の謎系を想像していると痛い目に遭う(ま、表紙からして「何か」を暗示してはいるが)。
著者の他作品
・小市民シリーズ
っ
シリーズ「読了」:「巴里マカロンの謎」
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シリーズ「読了」:「秋期限定栗きんとん事件」(上・下)
・古典部シリーズ
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シリーズ「読了」:「ふたりの距離の概算 It walks by past」
・映画化作品
っ
こんな映画を見て来ましたっ!:「インシテミル」
「満足度:◎」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ