サンチョパンサの憂鬱

昼下がりのサンチョパンサ(2)……なるほどフィットするタイプじゃないんだ?

スマートニュースの日本電産の永守重信氏の記事を読んだ。

昨日……気味が悪くなるほどに『同じ失敗を繰り返す官僚達』の事を書いた。

何故?エリートたる官僚がことここに及んでもなお『そこまでハズすのか?』の構図が説明してあった。
昨日の今日だから……まさに目からウロコの記事だった。

平和で順調に世の中が流れている時には、エリートたる人間も役には立つのだと。
『前例を繰り返せば上手く行く』からである。

『省益をくすねる』にもセンスが無さ過ぎる。未だに昭和のまんまおバカの一つ覚え……カネが逼迫すれば寸分違わぬ全く同じ公式で増税と演る伝統芸能だと……あまりに腹立たしくそんなことを昨日書いたばかり……。

永守重信氏が『その何故?』を見事に説明してくれていた。

エリートは『失敗を知らない』のである。
前例を踏襲するだけで良い局面では大過なくこなせる。失敗する確率がないからである。そんな局面では彼等は何も恐れず堂々としている。

しかし?コレは今までにないピンチ。
新たな手立てを講じなければやられてしまう!……そんな大転換期に於いては『失敗の確率は劇的に高くなる』のである。

挫折の経験が無いエリートは失敗・失態を極端に恐れる。
大転換期にソレでもエリートに舵取りを任せ続ければ……彼等は『それしか知らない前例主義』を繰り返すしか出来ないのである……と氏は述べている……。

大乱期には『失敗なんぞ慣れっこの非エリート』に委ねるしかないのだと重盛氏はいう。
非エリートは誹謗や中傷なんぞに気を取られず自分の信じるところを躊躇なく実行に移せる胆力を有しているからである……と。

エリートは……『他人と引き比べる戦い』には強い。だからエリートになっている。
しかし……『自分との戦いにはからきし意気地がない』という性質を宿命的に宿している。

絶えず他者に対して有利を手にして生きてきたエリートには『自分と戦う必要がなかった』のである。

『どうしよう?』なぁ〜んて慌てふためくシーンがなかったことが大乱期においてはエリートの致命的欠陥、最悪のウィークポイントになってしまうという運びである。

非エリートは事なかれ主義の空気を読むことなく『自分の信じるところを打ち出す』から非難され中傷され失敗もする。ま、浮きまくる。
しかし自分の信じるところを実行するからそんな状況にもたじろがない。

ともすれば失敗を恐れ『弱気に流れようとする自分との戦いには滅法強い』性質を非エリートが持つのは必然の運びなのである。

『探せば見付かる模範解答がないのが大乱期』……模範解答は『自分で作らねばならない』環境なのである。


さて……失敗しかなかった?とも言えるそんな僕のビストロの十年超の話……。
予算の都合上……ガランドウ状態の店内にテーブルと椅子を置いただけ?そんな状態から始まった。

厚い鉄板で覆ったドアを錆びさせるのに一ヶ月近くサンドペーパーで擦り続けては海水を塗った。宅配の運転手が言ったものだった。
『あの人は一体何をしてるんだ?』と運転手仲間では貴方は噂になっている……と。

ショーウインドウの前に建てたブロック屏に土壁を塗りその上に漆喰を塗り重ねた。ソレを電動ドリルで崩れた様に上半分を破壊した時は……通行人は僕を避け逃げるように小走りでかわして行った。

テーブルを作り直して壁に石を貼り野太い梁を交差させて天井の中空に張り巡らせた。営業の隙間を狙って取り憑かれたように一心不乱にそんな事を続けた。

要するに僕を見る人達の目は僕を狂人扱いしていたのがハッキリ分かった……。
しかし、そんなの一切気にならなかった。
一つ作り終えたら頭の中のイメージが三つ四つ『未解決のテーマ』を僕に急かして来る?そんな具合だったから気にする余裕は無かった。

今日……東京から出張して来たという三十歳位のサラリーマンがカレーを食い終えて、写真撮影しても良いか?と聞いてきた。

何気に入って度肝を抜かれたと彼は言った。

一体どんな考えで?こんな破天荒な内装をイメージしたのか?なぁ〜んて店長に聞いていた。
街の中心地の通りに扉を開けたら信じられない空間があった……異空間、非日常、何とも不思議な感覚に包まれた……と。

十数年前、内装屋に苦労しながら説明したイメージを、今日、東京から来た若いサラリーマンがそのまんま喋っていた。

満足だった。シンプルに嬉しかった。

自分の頭の中だけで創り上げたイメージを『若い普通の人』が理解してくれる様になるのに十年を要した事が……とても嬉しかった。

刹那に媚びなかったこと。多勢にも靡(なび)かなかったこと。
あの時……変人・狂人扱いされてた僕の予感は十年を超える時間をリードしていたのだと……。

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