皆、過去を見ている訳だけど……人によって今目の前で相対しても、二人の間の風景の『過去具合に差異を生じる』ものである。
相手は、未だに自分の事を……『あのときのまんま』だと思っていたのか?……なんて事を感じてその人の時間の経過を虚しく感じる事も多々ある。
またまた一概には言えないかも知れないが……。
相手が自分に『憎しみとか憎悪、怒り』を抱いている場合……相手がその『過去のリアルのまんま』に縛られ自分を見ている事に気付き慄然とする事もあった。
そして、相手が、僕の感情までもが『あのときのまんま』であると疑っていない態度に……呆気にとられた記憶もある。
僕は既に狼狽もしてないし、怒りはとっくに掻き消えている。
何故あれだけ怒りの感情が湧いたのかさえ自分の記憶から消えているというのに……である。
結局、怒りとか憎悪とか復讐心はその持ち主をずっとその時間、空間に閉じ込めてしまうんだと思う……。
その相手との『過去具合の開き』が僕の進化なんだろうなぁ?……とその時、思った。
何故か?悪感情の持ち主は、相手はじっとその場でそのまんま、次の攻撃を待っている?そんな錯覚をしているのだと思う……。
結局相手は関係なく、自分の憎しみとか怒りはその虜になるんじゃなく、自分の心を客観的に観て認知してやらなければその人自身の時の経過を奪い続けるんだと思った……。
相手が好意とか善意とかをこっちに抱いてくれてる場合は全くその具合が違う。
しっかりとこっちの進化、変化を発見し……未来に向かって『もっと出来るでしょ?』なんて急かしてくれたりもする。
同じ僕を前にして、今現在迄の総てを過ぎ去った過去で処理しようとする人……。
一方、今現在迄の総てをまだ?そんなもん?と『未来のもっと』にして要求してくれる人……。
深い怒り、憎悪、怨恨はその持ち主のタイムマシンを破壊してしまうのである。
結果その情念がその人を過去に幽閉してしまうのである。
一時的な軋轢だった筈が相手の支配、屈服を願う事が……その人の果たせぬ目的
にすり変わってしまったのである。
心一つが……かくも異なる世界を描き現実にする事の素晴らしさであり……また醜悪さでもある……。