サンチョパンサの憂鬱

所感?・所信?……2

今、店に新規開店の為に研修に来ている女性がいる。

三十代半ば……普通に二十代に見える。彼女が過ごし来た人生……いわゆる定番のコースを大きくフェードアウトし、聞けば聞くだけ彼女がここまでサバイバル出来た事が不思議に思えてくる。

今、SDGsなぁ~んて資源の節約、持続可能社会とかのブーム。
そんな表層だけをサッと摘んで『演ったことにするお仕事』が全盛だけど……。

彼女を教えていてその理解力の高さに驚かされるのである。ま、頭が良いのは当たり前なんだけど。
道具の扱い、味付けは何故?そうするか?とか
メニュー、ソースの作り方、内装の考え方などなど教えるだけ面白いように吸収していくのである。

話しながら教えていると必死でメモをとっている。何故か?その時だけえらく遅い事に気付いた。
『彼女の障害物は漢字』だった。
察するに小学校高学年で突如勉学を放棄した事が明らかに窺えた。
何があったかは分からない。しかし彼女にとっては『大きな何かがあった』ことは明白だ。

その時点で、学校には教師たち、家には親も……彼女の発育に『責任がある大人達』が居たはずである。
教師を演っていて、彼女の潜在的才能が眼前で衰弱していく事に『勿体無い!』と気付かない哀しさである。

この国で『今一番大きな資源ロス』は人資源だと思う。
ほんのちょっと注意を払って丹念に扱えば有用に働き活かされる筈の人資源が不用意に傷付けられマイナス世界に零れ落ちていく流れ……。

人は(特に子供は)希望を見失うと……ヤケを武器にして拗ねに走る。
ルートに沿って進む人間に向けられる湿度の高い羨望は嫉妬となり、やがて否定、敵意、攻撃性の強いメンタルを喚起することとなる。

イイコを演ってる連中に『何か?勝てるもの』は?となれば一足早い大人の真似事という定番の安易なイキガリとなる。
酒、タバコ、セックスなどなど……もとより健康な願望ではないからすぐそれに飽きる。

その捻じくれていく性根は刹那の刺激を求めてよりエスカレートの限りを尽くす。
コンプレックスという奴は正面から見据えれば反転攻勢の大きなエネルギーとなるけれど……。
大抵の人間は負への疾走を自分で止める勇気を失っていく……。

『何が何でもコンプレックスだけは……認めたくない』……それだけが支えとなる不思議である。
哀しいイキガリも二十歳を過ぎる頃にはそれに疲れ果てる。

気が付けばスッカリ負け犬根性が自分を支配している……。
何かに付けて心の奥底で『自分なんか……』に支配される人間の出来上がりである。

そんな彼女から感じるプロファイリングの大体を話していると……何で?何も話してないのにそこまで分かるのですか?……と彼女は言った。
『人間の駄目になり方には個性がない』のだと、逆に人の良くなり方は人の数だけ様々な方法と結果があるのにね?……と応えた。

誰が演っても同じ方法(基本)を演らないから人を変えても結果は同じになるのだと。
誰にも必要必須の基礎を繰り返し覚える事を端折るから誰もが同じになっちまうのだと……。

君は何か?特別な悲劇にあった特別な人間だと言い訳して来たと思う。しかしね?ここまでは『超アリキタリの負け犬』に過ぎなかった事を肝に銘じなさい!と僕は言った。

チョコザイな技術論だけを延々と繰り返す教師たちには『何故?がない』のである。
何故?急に成績が落ちたのか?何故?一気にやる気を失ったのか?……そんな何故?を子供と一緒に解決を模索することこそ教師の仕事の本分と言えるんだけど……。

人を扱うのに些末な技術論と一緒くたにして『同じ日々を繰り返しこなすことだけを仕事』と称する大人の教師たち。

それはやがて我が身に祟ってくる。イイ歳をしてるのに幼稚な破廉恥事件に走るのもその一つの結果である。
教育委員会に賄賂性の高いカネを献上するのも同じ。完全に有用な大人の思考力を喪失してしまっているのである。

自分という人間の扱い方が稚拙に過ぎる大人が増えてしまった。
拙い『人資源の育て方』はそうやって日々、この国から活力を奪い去っている。

『自民党の政治倫理審査会?』の茶番……彼等は倫理というものを思考する力が既に枯渇してしまった大人達なのである……。
倫理は晩節を豊かにしてくれる人間の『大基本』なのだと思う。
ソレを疎かにすれば『個性のない失敗老人達』が列をなすのは当然の帰結だと……思う。
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