スタッフの女子大生が……そうなんです!
私達は、皆と歩調を合わせるのがイイコだと半ば強迫観念まで植え付けられてこうなったのに……社会人を目の前にして急に個性がない!と責められて困惑してるのです……。
そして彼女は言った……『個性的になるにはどうしたら良いですか?』……と。
個性的になる為の『課題を欲しがる』のである。
安定を得るための最低必要限度のマニュアルだけを、脇目も振らずにこなして来た。
人から浮くな!人に合わせろ!……と教えられ、用意周到に極限まで削ぎ落とされたマニュアルをイイコしながらこなして来た結果だ……。
ファーブル、シートン、カエサル、リンカーン、シュバイツァー博士……『今は難しくなったのよ大学』と教育ママ達が仰る大学の子女、子息達なのに……。国公立大の子達も全て知らなかった……。
今は難しくなった大学に入る為には成る程必要のない知識だ……。
『どうすれば?』……それを考えないから貴女達は個性を失ったんだと思う……と店長は言った。
その為の取っ掛かりが何一つ無いのかな?と僕は思った。
『自分の直感』を信じる事だと思う……その直感のアイデアを活かす為には?と思考して行けば自ずと個性的なアイデアや考え方が手に入ると思う……と僕は言った。
その時……周囲は君に対して怪訝そうな視線を向けると思う。『変わっている、個性的な意見』だからだ。
反射的に君は自分の意見を引っ込めたくなる筈だ。君はイイコだからね……。
その時……君は自分の個性を守り育てる為に、従来のイイコの自分との戦いを始める事が出来ると思う……そう言い加えた。
その直後……手荒れの絆創膏を一枚貼り変えても良いですか?……と彼女は店長に聞いたのだった。
『貴女はどうしたいと思うの?』……苦笑いの店長……。貼り変えたいです!……じゃ、そうすれば?……救急箱は何のためにあるの?と店長の追い討ち……。
何でも聞くの止めてくれない?……自分でやってね。ロボット見たいでしょ?それじゃ。
人に訊かずに自分で決めて動く!……それが個性的の始まり!……チャンチャン。
若きイイコ達の混乱は思ったよりも深いのである、それも絶望的に。
演る前に先に聞く。それは失敗を避け叱られない為のセレモニーなのである。
物事を演れば演るだけ失敗の機会が増える。
イイコ達の基準は減点法だから採点の機会を出来るだけ減らす。故に言われたことしか演らないのである。
でもね……世の中は加点法で動いてる。
価値を沢山加点したものが勝つ。
成る程ね、失敗しなきゃ確かに減点はない。
でもね……それじゃ何時まで経ってもゼロ点なのよね~。成長出来ないって事なのよ……。
男の子達のセックスの欲求の減退も……もしかしたら『この減点法』故のことかも知れない。それほど彼等は世の中から『普通で居なさい!』と脅迫されて育ったのだろう。
その彼ら、彼女らがこの国の主力となっていく。僕達大人は大いに反省し彼等を野生に戻して上げなければならないのだと感じたのだった。