サンチョパンサの憂鬱

男と女……時代の風景

その時代の風景ってのがある。

1970年代ってまだ携帯もなく……恋人とのアポ取りも中々難しかった。逢えるかな?逢いたい!なんてドキドキしながら公衆電話からダイヤルを回す……。

何時だったか書いたけど……直ぐ連絡が付かないってのが中々風情があった。その間が様々な想いが巡る時間で二人の関係性に『深まり』を醸成するのに貢献してたんじゃね?……と思う。

真剣に恋する乙女は会えない時間が一日千秋?ってな感覚だったかもなあ……。
そんな事を想わせる70年代の隠れた名曲があった。フォークデュオの古時計が唄う『ロードショー』である。

✳ 映画館のロビーで貴方の笑顔みてしまいました 私にではなく誰か知らない人に注ぐ微笑みを……パンフレット持つ手が震える私の目の前通って……二人は赤い扉の中へ消えて行きました……✳

ここで恋い焦がれた男が二股野郎だったと判明するのである。

✳忙しくて逢えない……貴方は電話でそう言ってました 私にゴメンと直ぐに謝ったのはそんな訳ですか?✳

あの時代……仕事は女を黙らせる男の印籠だった。私と仕事どっちが大切?なんて喚き散らすはしたない(……とされてた雰囲気があった)女は少なかったよね確か……。

✳ベルが鳴っています私の愛を脅かす様に
明かり消えました 泣いても良いと教える様に……映画館の外には何時ものざわめき 見慣れた町並み……貴方の後からついて行こうと決めて二年が過ぎました……貴方と私に続く物語だけ……今は大事です✳

かなり……後を引きそうな乙女の傷心である。

学生運動何てのが急速に消えて行った後……『熱い思い』の消化先は恋愛位しか見当たらなかったのかもね……四畳半ソング何ていう極めてプライベートな部分を思いっ切り拡大して没入しようとしてた。

『他に好きな人が出来た……』……そんなメールの一文で清算できる関係性はライトで楽である。既読放置して自然消滅なんて超お手軽な方法もある。着信拒否とかね……。

✳冬の海を見せたい私の心に 届いた絵葉書✳

✳~✳……古時計『ロードショー』の一節

この小節にグッと来たのを覚えている。
所詮切れて離れ行くんだけど傷心に対して『納得の儀式と時間』を必要とする?そんなアナログ感が残ってた時代……もう少し世間の流れにも男女間にも季語があった様に思う……。

かと言って……懐古趣味なんてない。
今の時代……『お手軽の良さ』ってのもそれなりにあるんだろう。
何のかのといって結婚し、『生活になれば……』越えなきゃならない悩みは今も昔も同じだろうし……。

だからこそ……『人生をかけるおバカな恋愛の体験』が素晴らしいのである。
男も女も時と共に……異性の深い所が覗ける様になる。そうすると『おバカになりにくくなる』のである。

目一杯人を愛する勇気は難しくなる一方だから……若いときの『何がなんでも欲しい』となる体験はトンでもなく酷いフラレ方をしたって安いものだと若い人達に知っておいて欲しいと思うのである。
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