辺境にて
つんでは くずし つんでは 崩し 悠久の世界を 司る神々 遂に 虚空の裂け目より 悲哀をもたらす ...
鏡
とめどない欲に ふりまわされ いつまでも 食べ続け 肥え太っている 鏡には 身も心も ガリガリに や...
鐘
そこにいる困惑した者たちは 少し遅れて来た人物に 視線を注いだ 彼は冷徹な規則を編み出し 人々からおそれられていた しかし 彼らは もう片方の人物も見ていた 彼は 最...
活路
この笑顔を守らせたまえ こうして 漸く 活路がみえてきた この先 どんな宿題が? ...
雨季の恵み
トタン屋根を叩く雨音が心地よく うたたねをしていると、 やがて音が小さくなった。 私はあくびをしながら庭にでると、 ユスラウメに目をやった。 2年前に植えた果実の一本であ...
融合と分裂
我らすべては兄弟(はらから) 分身で どんなに激しい生き方も それを見ている自分がある 後の融合に備えて ...
天と大地と
命をつなぎ 育む体感は 彼女を満たす それは大地に 根を張るごとし 種が芽を吹き 枝を伸ばし 多様な喜びの 源流となる それは創造であり ユートピアである し...
猛女
なんでこうなるの? わたしは良く頭を抱えたものだ。 あの日、中学校から帰ると 見上げるような大きな男が店(我が家の) の入り口で中に向かって叫んでいる。 「わしゃあ、子供...
大男の涙
「姐さん」 「オヤッさん」 今日も男は入り口で頭を打ちながら来た。 そしてどうにも我慢ならないことなどを 親父や母親に話す。 ...
署長さん
その日は母親の帰宅が遅くなっていた。 父親と親しかった数人と食事に出たらしい。 やがてタクシーが止まり、バタバタと帰ってきた。 『おおごとじゃったいね~』 なんでも、皆で食...