雄一郎の半生
家でぶらぶらしながら、毎日仕事
もしないで遊んでいました。
母は、仕事しろ、と言う
毎日でしたが、半分バカにして
隣の町に遊びに行っていました。
I君の遊び仲間のМ君とも、
一緒にバイクでディスコに
行ったりの毎日です。
この頃は多感な時期で何となく、
父の顔が見たくなっていました。
今まで聞いていた父と、
実際の父はどんな人だろうと
思っていたのです。ある日、
父に会いたいので母に、
どうしたら会えるかと、尋ねると
ある町の駅前に父の親せきが
食堂をしているので
その食堂に行けば、父と連絡
をしてくれると思うという
ので、早速バイクでその食堂に
行くことにしました。
食堂に着き、中のおばさん
から「何を注文しますか」
と、言われましたがモジモジ
して、○○○(父の本名)を言い、
会いたいと伝えると、急に
あたふたして、
どこかへ電話を掛けていました。
暫くすると、トラックで父が
現れ、バイクを荷台に積んで、
家に行こうというのです。
父のいうまま、父の家に行き
ました。すると、幼い女の子が
二人と色白の奥さんがいました。
「夕飯を食べていきな。」
との事で、一緒に食べた後、
その奥さんから
「もう、ここには来ないで
ほしい。お父さんと貴方の
お母さんは以前そういう
取り決めをしているので」と
何やら手渡されたものがあり、
「帰ってから開けて」と
言われました。
自分は納得がいきません。
父や母の取り決めかは知ら
ないが、どうして自分の自由
まで勝手に決められるのか、
腹が立ちました。帰りに、
帰ってから開けてと言われた
ものを開けると
1万円札が入っていました。
当時の一万円は今にすると
5倍ほどの価値があったかも
しれません。これを見て
なおさら、頭に来ました。
「もう、お金を上げるから
来るな」という事かと。それに、
なぜか帰り道は、涙があふれて
前が見えない程でした。
もう二と度と会えないのか。
と悲しくて涙が止まらない
状態で、バイクで夜道を
帰りました。
そしてさらに、世間に対して
も反抗が始まるのです。
次回につづく