本日のランチ
健康セットと食後のコーヒー。1056円。
今日は雨。朝はザーザー降りでしたので、車を出しました。待ち時間を読書で満喫できるなんて、これこそ怪我の巧妙かと。
「サラバ」タイトル通り壮大な物語でした。
歩【あゆむ】という37歳の男の半生。生まれはイラン、父の転勤でその後エジプトで少年時代を過ごし、両親の離婚もあり大阪へ帰る。
母は勝ち気で自己愛の強い人。結婚してから、そして離婚後も働く事なく元夫である父のお金で生活をしている。
姉はとてもシュールな性格で、引きこもったり、ネット上で神と崇められたり、破天荒だけど、とても繊細。
主人公の歩は、家族、特に母、姉の強烈さにドン引きしながら粛々と育つ。容姿も頭も性格の良さにも恵まれ、何一つ足らないものはない、そんなイメージだけど、出会う人全ての影響を身体に受け止め、家族を反面教師にして難を逃れてきたけれど、大学生になってからのクズ的な生き方が災いしたのか、30過ぎての人生は急降下。容姿端麗な王子から若ハゲ、下腹ぽっちゃの中年男へ変貌。フリーランス仕事のオーダーも薄れ、彼女にも裏切られたりと、まさにまさかの坂を転がった。
それに対して、引きこもりや宗教に転じ、アウトローだった姉が自分探しの世界旅行先で一生の伴侶を見つけ、人が変わったかのように飛躍した姿で帰国し、弟へ人生を学べと説教。最初はお前に言われたくねえしと受け付けなかった歩だけど、親友達と再会し、それぞれの人生の岐路を目の当たりにして、自分を見出す決意をする。
そして少年時代の心の友ヤコブのいるエジプトへ。中学生の頃、カタコトで親睦を深めていた彼との再会は、今まで生きてきた道のりと今、そしてこれからを結ぶ運河のようだったのかな。
サラバと掛け声を繰り返す二人。
サラバ、さよならこそが人生と言う言葉がある。今と別れて未来がある。
人生の川は流れ続けているんだよね。
沢山の登場人物が、ほんとに沢山の登場人物が出て来るのですが、皆、とても生き生きとした魅力があって、主人公の人生の幹となっている。こういう感じが西加奈子の醍醐味ですね。