甘い人間

本★ときどき★パン

魔女たちは眠りを守る

2020-04-15 20:16:12 | NetGalley

♪~小さい頃は神さまがいて 不思議に夢をかなえてくれた~♪
神さまじゃなくて魔女だけど。

いつの間に忘れてしまったのだろう。
別れや死の気配を感じる場面があるが、
語りかけるような文体で、村山ファンタジーマジックに癒やされました。

内容紹介
魔女はすべてを覚えている。
ひとの子がすべてを忘れても。どこか遠い空の彼方へ、魂が去って行こうとも。
そして地上で魔女たちは、懐かしい夢を見る。記憶を抱いて、生きてゆく。その街は古い港町。

桜の花びらが舞う季節に、若い魔女の娘が帰ってきた。
赤毛の長い髪をなびかせ、かたわらに金色の瞳をした使い魔の黒猫を連れて。
名前は、七竈・マリー・七瀬。

目指すは、ひとの子たちが「魔女の家」と呼ぶ、銀髪の美しい魔女二コラのカフェバー。
懸命に生きて、死んでゆくひとの子と、長い時を生きる魔女たちの出会いと別れの物語。

自粛疲れに気をつけて!この漫画お薦めです

2020-04-14 17:07:57 | 日記



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コロナ離婚・コロナ疎開。コロナ鬱・・・

たこ焼きの岸本 蓮見恭子

2020-03-15 16:50:33 | NetGalley


さすが大阪です。他のお店屋さん設定の小説とはひと味もふた味も違った食べ物の店系小説。
十喜子:店の名前?ないわよ、そんなん。

きれいごとや、ご近所さんどうしのいい話を期待してはいけない。
十年ぶりの戻ってきた息子は子悪党かも・・。
そこまで悪人ではないが《我が息子ながら情けない》と心配事は尽きない。

住吉鳥居前商店街の人情話はエッジが効いています。


内容紹介
熱々、カリッと焼けた皮、中はとろり! ソース、マヨネーズ、青のり、かつお節を載せて!
大阪住吉大社の近くで、たこ焼き屋を営む十喜子。
商店街で起きる事件や騒動に、皆で力を合わせて立ち向かう!
大阪の住吉大社近くの商店街で、亡き夫から引き継いだ「たこ焼き屋」をひとり営む岸本十喜子。
十八歳で家を出ていった息子は行方知れずのまま。
だが特製玉子サンドと珈琲が美味しい、カーリーヘアで豹柄のミニスカートの喫茶店のママ、
子ども食堂を併設した「キッチン住吉」の佳代など、商店街の皆と、
身の回りで起きる事件を解決していく。
熱々で美味しいたこ焼きが人々の心を優しく和らげる、どこか懐かしく温かく笑える下町人情物語。書き下ろし。

親方と神様 伊集院静

2020-02-18 10:25:14 | NetGalley

少年をテーマにした7編の短編小説「少年譜」(既刊)より「伊集院静--少年小説集」第1作目。
木内 達朗氏の美しい装画が豪華。


鍛冶屋の仕事に魅せられ、中学に行かずに鍛冶屋になる夢を持った少年:浩太を諭す場面が山場。
口べたな老職人が浩太に語る話が心を打つ。
小学校の担任:須藤の言葉「鍛冶屋は人間が最初に作った職業のひとつだ」
も印象に残った。加筆部分として、大人になった浩太は・・・。
折しも、鉄鋼業界再編の時期でタイムリーな面も。

内容紹介
鋼と火だけを相手に、人生の大半を過ごしてきた鍛冶職人の前に現れたのは、澄んだ瞳をした12歳の少年だった。
少年は、鍛冶屋になりたいから、仕事を見学させてほしいと言う。年老いた職人は少年のその純粋でひたむきな姿に心が動き見学を許した。
少年は、毎日訪れるようになり、職人も鍛冶のことを話してやり、二人は心を通わせていった。
職人は、少年が鍛冶屋になりたいというのは、子どもの気まぐれだと思っていた。

後日、少年の母親が訪れた。要件は、少年が中学校にいかずに鍛冶職人の修行をしたいと言い出したので、ここでは修行できないと説得してほしいということだった。
しかたなく承諾した職人だったが、自分は口べたなので、少年に話して説得できる自信がなかった。
話せば話すほど、少年は自分に裏切られたと思うに違いない。

職人は、考えた末、自分が親方から聞いたことを、当時と同じように山へ出かけて、少年に話してみることにした。
山を歩きながら、彼は鍛冶がいかに素晴らしい仕事であるかを少年に話した。
それは、説得とはまったく逆の話だったが … …。
年老いた鍛冶職人は少年を、いかに育てたのか? 子育てとは。人育てとは? 伊集院 静が贈る珠玉の短編小説!

「親方と神様」という中国山地で暮らす鍛冶屋の職人と、その仕事に憧れる少年の物語です。
伊集院 私自身が、子供の頃、鍛冶屋になりたかった。小学生のとき、鍛冶屋の仕事をずっと見ていて、学校に行かないことがあった(笑)。
また、聖書に出てくる職業に興味があります。鍛冶屋にしても、大工にしても、娼婦にしても、ずっとなくならないものですからね。
──鍛冶屋に憧れる少年に対して、親からの依頼もあって、親方はその夢を諦めるように諭します。
その不器用な諭し方にこの小説の魅力があると思いますが、この短篇も、単行本で大幅にラストを加筆なさっています。
伊集院 少年は、鉄鋼会社に就職して昭和の大合併を成し遂げ、「鉄の番人」と呼ばれるようになります。
その男が飛行機に乗って、親方と歩いた山を眺めるシーンを加筆しました。
この小説集では「励め=生き続けろ」ということが結果として貫かれていて、加筆することでそのことが分かりやすくなったと思います。しかし、今までの私だったら、このような加筆はしなかった。あとは自由に考えてください、という姿勢だったのです。その典型が「トンネル」という作品です。
しかし、今は加筆部分が必要だと思う。「トンネル」と「少年譜」、「親方と神様」。この間に、私という人間の変化があると思っています。




竹宮ゆゆこ いいからしばらく黙ってろ

2020-02-10 20:47:17 | NetGalley


劇薬青春小説。
無駄な修辞語やモノローグで飾り立てない《竹宮ゆゆこ文体》読みやすい。
意味不明なテンポ感、ときどき高揚感。劇団の事情とともにすっかり魅了される。
27歳で劇団の主宰で収入はパパの店で働く分だけで/中略/虫のごはんで演劇ばか。
南野正午はそういう人だった。
そういう人に、自分はついていくことを決めてしまった。
というか現在進行形でついてきてしまっている。この後は風呂まで借りる予定だ。

「私、ここにいていいんだ」
何となく疎外感を感じているアナタに元気を与えてくれる。

〈あらすじ〉
大学の卒業を迎えた富士は、絶望の渦中にいた。
五人兄弟の真ん中として育ち、金銭的には何不自由なく育ってきた富士。
卒業後は、親の企業に就職し、そこの社員と結婚して静かな暮らしをするはずだったのに――。
許婚に婚約を破棄され、地元に戻るのも恥ずかしく、就職先もないまま東京に残った彼女は、ひょんなことから弱小の劇団運営にかかわることに。
そこは社会からはみだした者たちが集うところ。
劇団員になれば、ボロアパートの家賃は無料でいいとの甘言にひかれた富士だが、
そこで自分が「真ん中っ子」としてつちかってきた、「カオスを整理する能力」を発揮することになる――。