江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

詰め込み教育と労働強化はやめましょう!

2020-05-18 | 江戸川区教組
文部科学省は、「原則、年度内で必要な指導を終えるように最大の努力を行なっていただくのが大前提」とした上で、学習内容の一部を次年度以降に繰り越すことを特例で認めることを全国の教育委員会などに通知したという報道が5月16日にあった。

但し、繰り越しできない最終学年の小6、中3、高3は対象外とのこと。
「指導を充実させるための工夫」として、これまでの通知にあった夏・冬休みの短縮や土曜授業の実施に加え、1コマあたりの授業時間を短くし、1日あたりのコマ数を増やす案も例示しているとのこと。

たとえ子どもや教職員の過重な負担にならないように配慮するようにという文言を加えたたところで、文科省の例示する案が、負担にならないわけがない。

文科省の責任放棄、現場まかせという感じが否めない。
5月17日の朝日新聞では、都内の小学校長の声として、「担任も変わる新学年はできれば新しいところからやりたい。やれるだけ詰め込むつもりだ」とある。

また、同日の声の欄には、「学校再開が話題に上がり始めた。報道される内容はとても歯がゆく、現場の実態と不安を反映していない」と学校再開後の課題について元小学校教員の意見が紹介されている。

3月から5月までの約3ヶ月、休校で授業ができなかった日は、50日以上、1日‪5時間授業と考えたら、‬250時間以上になる。

これらの時間分の内容を、「年度内で終えるように最大の努力をするのは大前提」という言葉に、現場の負担感は増すばかりだ。
無理な努力を強制されている。
文科省のこういう通知を考えている人たちは、学校現場に来て、1週間でよいからクラスで授業をしてみれば、土曜授業やコマ数を増やすなどが、いかに子どもたちと教職員の負担になるかわかるだろう。

子どもが遊んだり自由に活動したりする時間を、大人の都合で奪ってもいいのか。
詰め込み教育で学習内容を終わらせてよいのか。
理科の実験・観察は、動画視聴で終わらせてよいのか。
体験活動はどうでもよいのか。
学力格差が広がって、授業がわからない子が増えてもよいのか。
教職員が過労死してもよいのか。
様々な問題を生じる危険性も、紙の上だけで議論していてはわからない。

新学習指導要領の実施を見送り、学習内容を削減することが1番シンプルで現場への負担が少なく、すぐできる解決策だと思う。
また、必要性の低い年次研修や様々な職層研修、教員免許更新制の削減・中止など、不要不急な「やらなければならない」ことをストップし、その分の時間やお金を新型コロナ対策に回すくらいのことはしてほしい。

教職員が子どもたちと向き合うことに集中できる教育政策を今こそすすめるべきだ。
文科省が例示している案は、「指導の充実」と言えば聞こえはいいが、ますます現場から余裕を奪うものである。

これまで東京都で実施されている土曜授業について現場で上がっている声を紹介する。

・土曜授業があると、疲れがとれない。みんな疲れている。
・子どもにとっても教員にとっても土曜授業の日は疲れがピーク。
・学習効率が非常に悪い。
・たとえ土曜授業が半日勤務でも、教員は未処理の仕事があり1日勤務になるのできつい。
・誰も幸せにならない振替なしの土曜授業はやめてほしい。
・土曜日に通院できなくなりきつい。
・土曜授業があった後の月曜日は、保健室に来る子が多い。
・土曜授業後の月曜日は、子どもが疲れていて落ち着かない。

<「働き方改革」は吹っ飛ぶの⁉︎>

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