江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

理科支援員(観察・実験アシスタント)という仕事

2015-11-25 | 随想





 理科支援員という仕事をしている。
理科を教える小学校5~6年生担任の助手のような仕事だ。
観察や実験授業の器具の準備や片付け、授業の支援などが主な仕事の内容である。

 25年3月迄は「理科支援員」という名で、科学技術振興機構が都道府県・教育委員会に委託していた。
それが廃止になり、25年4月からは文部科学省が「観察・実験アシスタント」と名称を変えて事業を継続している。

1学級年間25時間の枠で、時給1200円である。
5・6年で4クラスだと年間12万円で月額1万円程の給与だ。
交通費は別に支給される。

生活と時間に余裕のある退職教員なら引き受けて手もあるが、誰もがやりたがる条件の良い仕事とは云えない。
しかも2時間だけの勤務でも、出勤すると最低6時間は学校にいる。
2学年で4時間の日は一日中勤務することもある。

授業前に実験器具の準備をして、担任が授業をするとその支援をする。
終わると片付けがあり、次のクラスの準備もあるので必要以上に時間がかかるからだ。
(せめて、時給を二倍にして欲しいと思っているが・・・。)

実験器具の準備と片付けだけなら時間内に済むが、授業支援をしない訳にはいかない事情もある。
初めて高学年を持つ担任にとって理科の授業は、内容を理解して授業をどの様に進めるか、その計画を立てるだけでもなかなか難しい。
まして、観察・実験授業の準備は大変である。
授業時間内に片付けは難しいし、終わってからも次の授業が直ぐにあるので出来ない。

理科支援員がいると、担任は準備・片付けが無くなり授業をするだけで良い。
支援員は担任へのアドバイスや児童への支援も必要に応じて出来るので、授業も円滑に進み児童の理解も深まる。
私も高学年の担任が多かったので、理科の授業には準備や片付けにいつも汲々としていた。

 メダカとかアサガオやホウセンカ・じゃがいもなど生物・植物教材の準備は、天候や生育に関係して準備や授業が大変だった。
だから、準備が完璧だと授業の内容も充実してくる。
児童も楽しく授業が出来て、理科への興味と関心も一段と深まってくる。


今の仕事を引き受けて4年目になるが、子ども達は「理科の授業が楽しい」と言ってくれる。
それが励みにもなっている。

6年の「水よう液の性質」の単元で、ムラサキキャベツを使う実験がある。
ムラサキキャベツを煮出して水溶液を作り、酸性・中性・アルカリ性の水溶液にキャベツの液を入れると、色で水溶液の性質が分かるのでかなり楽しい実験授業だ。
しかし、用意周到な事前準備を担任一人でやるのは大変だ。

私が担任だった時は、ムラサキキャベツをスーパーで探すことや、水溶液を準備するのに手間どったり、うまくいかないこともあった。
今は栄養士さんに頼んで給食業者から立派なムラサキキャベツを買って使っているが、当時はそんな考えも浮かばないほど余裕が無かった。
水溶液のきれいな色に驚きの声をあげたり、どんな反応が出るのかわくわくしている子ども達の表情を見ていると元気も出てくる。

次のクラスも「実験を楽しんでくれるかな」と思いながら準備や片付けをしている。



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