江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

憲法記念日に思う 

2022-05-03 | 随想
今日は憲法記念日ですが、今年は例年以上に反戦平和の在り方を問い直さなければならない危機的状況にあります。

新聞やテレビなどのメディアが伝えるものを材料に考えてみたいと思います。
まずは、3つの世論調査を見てみます。
世論調査によって世論を作り上げるといったいった逆説的な見方も可能ですが、とりあえずは考える資材にします。

昨日公表された朝日新聞の世論調査調査によると、「今の憲法を変える必要があるか?」という質問に対して、「必要がある→57%(昨年45%) 「必要がない→37%(昨年44%)
「憲法9条」については、「変えたほうが良い→33%(昨年30%) 「変えないほうが良い→59%(昨年61%)

一昨日の共同通信の報道では、9条改憲は賛成反対が拮抗してはいるものの、賛成50%で反対の48%を僅かに上回っていました。

更に北海道新聞の同調査によると、結果は朝日新聞に近く、共同通信とは逆の結果になっています。
即ち、9条改憲は賛成が35%に対し反対が47%と、未だ9条に関しては改憲に慎重な態度ととらえることができます。

しかし、これらは質問の仕方が微妙に異なり必ずしも比較はできない面もありますが、大枠で見ると、憲法そのものは「変えることに賛成」している人たちが増加しているようです。
「9条」も、共同通信では改憲賛成が多くなっているし、この3社以外の調査でも今年は例年以上に増えているようです。

こうした結果が出るのは、容易に想像できることです。

ロシア軍によるウクライナ侵攻が最も大きく影響しているでしょうが、「北朝鮮」による核開発や弾道ミサイルによる挑発が続いている状況や、中国による海洋進出や軍拡も顕著になっています。
こうした状況が改憲に向かわせているのでしょう。

戦争を憂いる表向きの顔の裏には、「今こそ絶好のチャンスだ!」とほくそ笑む改憲勢力の姿が垣間見えます。



次にテレビから取り上げたいのですが、昼間のワイドショー的な番組はみるのも躊躇いがちです。
そこで、日曜日の朝、TBSテレビ「サンデーモーニング」を選び、ウォチングしてみました。









ウクライナ侵攻を機に各国が軍事費を増額する動きや、日本においてはその他にも「核共有」とか「反撃能力」といったトンデモない言葉が出ている状況を解説していました。
「非核三原則」という文言はどこかへ吹き飛び、さらに「アメリカの核の傘」も越えて「核を持たせてもらおう…」てな考えなのかと呆れ果てます。

また、「敵基地攻撃能力」は専守防衛の言葉から逸脱してる印象があると考えたのか、「反撃能力」という言葉に言い換えています。
しかし、この反撃なるものが狙うのは「敵」基地のみならず指揮統制機能等がある「敵」の中枢部をも攻撃の対象にしている点が問題とされています。
ロシア軍がウクライナ侵攻をするための後方基地を、この度、ウクライナ軍がミサイル攻撃で一部を破壊したという情報がありましたが、日本政府の考え方はまさにそれに該当するものと言えます。

もう、リアル戦争が今すぐにでも始まるような想定をしているとしか思えません。
戦争状態になることを防ぐための戦略こそ重要なのですが、そうした論議はいったいいつどこで行うのでしょうか・・・。
野党がそこを追求すべきです。


日本政府もこの機を最大限に活用して、憲法改悪を一気に進め、世界にならって大幅な軍備増強を図ろうとするまさに歴史上稀に見る政治の大転換に突入しようとしています。
GDP比2%というのは、各国に比べてGDPの高い日本が実施すると、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の軍事大国になるわけです。
そんな国が「軍隊は保持していません」とは言えません。
だから、自衛隊をきっちり軍隊として位置付ける憲法の改定(改悪)が必要だというふうに持って行く魂胆なのでしょう。

こうした状況の中での参議院選挙となることを、しっかり踏まえて闘いの戦略を構築する必要があります。


最後に5/3付東京新聞社説「良心のバトンをつなぐ」ー憲法記念日に考えるーの最後の部分を一部引用します。



もっともらしい脅威や危機をあおり、「軍事」の掛け声が聞こえたら危険信号です。歴史の教えです。明治維新から昭和の敗戦に至る戦争に77年。敗戦から今日までの平和の77年。未来の分水嶺のような年です。
静かに死者たちの声を聞き、次の時代に良心のバトンをつなぎたいものです。




<憲法前文の精神こそ平和の源>



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