彼女との出会いは給食から始まったが、その後も何度か給食につき合った。
少なくとも私と一緒に給食を食べている時は、とても明るく饒舌である。
何故この子が教室へ行けないのだろうか・・・?
2回目に一緒に給食を食べた時は、前回の続きのような話をしてくれた。
「私ね、今、あることを考えてるんだ。」
「ふ〜ん、どんなこと?」
「私ね、ママとおばあちゃんとおじちゃんに、お年玉あげたいんだ。」
「えっ!もらうんじゃなくて、あなたからあげるの?」
「そう!だっていつも私を可愛がってくれてるし、それに私、喜んでもらいたいの。」
「そっか!それはすごい計画だね。でも、どうやってそのお金を貯めるの?」
「う〜ん、それが一番の問題なんだけどね・・・。」
この件ではそれ以上の突っ込みはしなかったが、「喜んでもらいたいの」と言う彼女の心境に感じ入るものがあった。
「母子家庭」の一人っ子、母親はスーパーの品出し部門で働いている。
朝の15分間くらいが唯一の生身の母との対面時間。
彼女の登校時刻前に出勤して、夜の帰宅は彼女が就寝した後だ。
仕事はどんなシフトになっているかは分からないが、彼女の話だと母親は今、鍼灸師の資格を取るために勉強しているらしい。
だから、連休中と言えども子どもと一緒に実家に行くのではなく、その間に勉強するわけだ。
おばあちゃんは、彼女の下校時刻までには彼女のアパートに戻っているらしい。
そして、夕飯を用意して就寝までつき合うようだ。
そのまま泊まることが多いようだ。
因みに、おばあちゃんはママの母である。
「おばあちゃんのお家に行くのが楽しみなんだね…。」
「うん、ばあちゃんのウチ。あっ、私、本当はばあちゃんて言うんだ。」
「あっ、そうなの!そういう呼び方っていいよね。ウチも孫がばあちゃんて言ってるよ。」
「えっ!先生のウチも⁉︎」
「そうなの。ばあちゃんとじいちゃんだよ。」
「先生はじいちゃんなの?」
「そうそう!じいちゃんなんだよ。」
「あ〜、良かった。私、ばあちゃんて言うのは恥ずかしいかなって思ってたんだ。」
「そんなことないよ。じいちゃんばあちゃんが昔から伝わる素敵な言い方なんだよ。」
「私、やっぱり、ばあちゃんで良かった!」
「だって、ジイジとかバーバなんて言われるより、先生はじいちゃんて呼ばれた方が感じいいもんね。」
変なことで盛り上がってしまった。
こんな会話、おそらく彼女は初めて交わしたんじゃないかな。
(つづく)
<すばる>
少なくとも私と一緒に給食を食べている時は、とても明るく饒舌である。
何故この子が教室へ行けないのだろうか・・・?
2回目に一緒に給食を食べた時は、前回の続きのような話をしてくれた。
「私ね、今、あることを考えてるんだ。」
「ふ〜ん、どんなこと?」
「私ね、ママとおばあちゃんとおじちゃんに、お年玉あげたいんだ。」
「えっ!もらうんじゃなくて、あなたからあげるの?」
「そう!だっていつも私を可愛がってくれてるし、それに私、喜んでもらいたいの。」
「そっか!それはすごい計画だね。でも、どうやってそのお金を貯めるの?」
「う〜ん、それが一番の問題なんだけどね・・・。」
この件ではそれ以上の突っ込みはしなかったが、「喜んでもらいたいの」と言う彼女の心境に感じ入るものがあった。
「母子家庭」の一人っ子、母親はスーパーの品出し部門で働いている。
朝の15分間くらいが唯一の生身の母との対面時間。
彼女の登校時刻前に出勤して、夜の帰宅は彼女が就寝した後だ。
仕事はどんなシフトになっているかは分からないが、彼女の話だと母親は今、鍼灸師の資格を取るために勉強しているらしい。
だから、連休中と言えども子どもと一緒に実家に行くのではなく、その間に勉強するわけだ。
おばあちゃんは、彼女の下校時刻までには彼女のアパートに戻っているらしい。
そして、夕飯を用意して就寝までつき合うようだ。
そのまま泊まることが多いようだ。
因みに、おばあちゃんはママの母である。
「おばあちゃんのお家に行くのが楽しみなんだね…。」
「うん、ばあちゃんのウチ。あっ、私、本当はばあちゃんて言うんだ。」
「あっ、そうなの!そういう呼び方っていいよね。ウチも孫がばあちゃんて言ってるよ。」
「えっ!先生のウチも⁉︎」
「そうなの。ばあちゃんとじいちゃんだよ。」
「先生はじいちゃんなの?」
「そうそう!じいちゃんなんだよ。」
「あ〜、良かった。私、ばあちゃんて言うのは恥ずかしいかなって思ってたんだ。」
「そんなことないよ。じいちゃんばあちゃんが昔から伝わる素敵な言い方なんだよ。」
「私、やっぱり、ばあちゃんで良かった!」
「だって、ジイジとかバーバなんて言われるより、先生はじいちゃんて呼ばれた方が感じいいもんね。」
変なことで盛り上がってしまった。
こんな会話、おそらく彼女は初めて交わしたんじゃないかな。
(つづく)
<すばる>