江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「副校長補佐」という仕事ー3(気になる子①)

2020-10-03 | 随想
子ども対応も私の重要な務めになりつつあるのを感じる。

教室に居られない子というのは一様ではない。
先にあげた1年生とは別に、動きも言葉も穏やかだが教室には入れない子と出会った。
その日はずっと保健室にいた彼女だが、給食時間に一緒に食べるのを頼まれたのが始まりだ。

「一緒に給食を食べてもいいかな? 私は◯◯という者です。9月からこの学校にやってきました。いつも職員室で仕事をしています」と、名札を見せながら自己紹介した。
その子は2年生の女の子、マスクはしていても緊張している様子が伝わってくる。

「さ〜て、食べるとするか。この時間を一番楽しみに学校へ来てるんだから…」と、彼女の方を向いて両手を合わせた。
彼女も同じ姿勢で右側の私を見つめる。
二人一緒に「いただきます!」と言って食べ始めた。
教室と同様に対面せず横並びに座ったが、食べ始めると次第に互いに横を向き合いながらの会話が始まった。

ガツガツ食べる私を見て笑い出した彼女。
それからは、一気に滑らかな会話が進むことに…。

「今日は木曜日か。あと1日学校へ来れば4連休かな?」
「私、今度の休みがとっても楽しみなんだ。だって、おばあちゃんの家にお泊まりに行けるから。」
「あっ、そうなの。それはいいね。家族みんなで行くのかな?」
「あの、おばあちゃんが迎えに来て、私一人で行くの。」
「ふ〜ん、そうなんだ。お父さんやお母さんはお仕事があるのかな?」
「いや、そうじゃなくて、私のパパはいないの。でも、ママは勉強があるから私だけで行くんです。」
「そうなんだ。嫌なこと聞いちゃってごめんね。でも、家族って色々あるからね。」
「うん。色々あってね。」
「そうそう、人生色々だからね。」

案外さらっとした感じで、彼女は自分の家庭のことを話しはじめた。
私が「嫌なこと」って表現したのは、実は自分が勝手に「嫌なこと」と認識して喋った言葉だったのではないかと後になって考えた。
もしかしたら、彼女は「嫌なこと」を聞かれたとは思っていなかったのかもしれない。
(つづく)

<すばる>


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